「iDeCo(イデコ)」とは【老後資金のための資産運用法】

iDecoとは【老後資金のための資産運用方法】

最近、「夫婦二人の老後資金に2000万円の貯蓄が必要」という試算が話題になっています。

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そのために、証券会社のセミナーが賑わったり証券口座を開設する人が増えたそうですが、老後資金の積み立て方法の一つに「iDeCo(イデコ)」というのがあります。

今回は、その「iDeCo(イデコ)」が老後資金の運用に適しているかというのを、投資家目線で解説したいと思います。

「iDeCo(イデコ)」とは

「iDeCo(イデコ)」とは、日本語では「個人型確定拠出年金」と言い、簡単に言えば自分で積み立てる年金制度です。

掛け金(積み立てる金額)、運用方法を自分で考え投資することで、通常の年金(国民年金や厚生年金)と併せて、老後に運用した資産を受け取ることが出来ます。

「iDeCo(イデコ)」の対象となる金融商品

「iDeCo(イデコ)」で投資できる金融商品は大きく分けると以下の2つに分類されます。

元本保証型商品

原則として、元本が確保されている運用商品のことです。つまり、最悪でも元本は保証されるので、大きな損失が出る事はほぼありません。

代表的な商品に、定期預金や保険商品があります。

投資信託(ETF)

投資信託とは、専門家が運用する金融商品です。テーマ別に株式や債券などを組み合わせ、出資した投資家には利益に応じて分配金が支払われます。

「iDeCo(イデコ)」の主な対象商品はこの投資信託になり、以下のようなものがあります。

  • 国内債券型
  • 外国債券型
  • 国内株式型
  • 外国株式型
  • 不動産投資信託(REIT)

これらの投資信託や、これらを複合させたETFの中から、自分で投資対象となる金融商品を選ぶことになります。

「iDeCo(イデコ)」の掛け金の範囲

「iDeCo(イデコ)」で積み立てられる金額には毎月下限が5000円以上と定められています。また上限は職業によって変わってきます。

「iDeCo(イデコ)」の掛け金の上限

  • 会社員※1:23,000円(月)/276,000円(年)
  • 会社員※2:20,000円(月)/240,000円(年)
  • 会社員※3:12,000円(月)/144,000円(年)
  • 自営業者:68,000円(月)/816,000円(年)
  • 専業主婦(夫):23,000円(月)/276,000円(年)
  • 公務員:12,000円(月)/144,000円(年)

※1:企業年金なし
※2:企業型確定拠出年金のみ
※3:確定給付企業年金加入

収入が不安定な自営業者の方が、会社員よりも月々に積み立てられる掛け金がかなり多くなり、安定している公務員の方が会社員よりも低いのがわかります。

「iDeCo(イデコ)」のメリットとデメリット

では、「iDeCo(イデコ)」でこれらの金融商品を運用することで、どのようなメリットやデメリットが生じるのでしょうか。

「iDeCo(イデコ)」のメリット

まずは、メリットについて解説します。「iDeCo(イデコ)」は老後資金を自分で運用するための制度ですから、それを促すための魅力的なメリットが備わっています。

積み立てた金額を全額控除できる

「iDeCo(イデコ)」の最大のメリットは、積み立てた金額を全額所得控除として利用できる点です。

つまり、月に2万円(年間24万円)積み立てるとしたら、24万円が控除できることになります。

例えば、給与所得者で課税所得が「3,300,000円から 6,949,000円」の場合には、その範囲の所得に対して係る所得税が20%ですから、年間で48,000円ほどお得になるということです。

運用益が非課税になる

さらに、「iDeCo(イデコ)」ではNISA口座と同様に「運用益が非課税になる」ことも大きなメリットです。

通常、株式投資やETF(投資信託)の場合には、運用益に対して20.315%の税金が課税されます。これが、ずっと非課税になるというのは大きいですね。

「iDeCo(イデコ)」のデメリット

これだけ魅力的でメリットの大きい「iDeCo(イデコ)」ですが、デメリットもあります。

60歳になるまで引き出すことが出来ない

「iDeCo(イデコ)」は老後資金のための運用ですから、原則として「60歳になるまで引き出すことが出来ない」という特徴があり、デメリットになります。

もし途中から「iDeCo(イデコ)」以外で資産運用したいと考えても、拠出した金額を払い戻すことは出来ません。

元本割れのリスクもある

保険や定期預金などの元本割れリスクのない金融商品もありますが、投資信託での積み立てには元本割れのリスクもあります。

当然ながら、「iDeCo(イデコ)」の対象となる投資信託は、老後資金の積み立てを目的に厳選されたETFですから、ETF全体でみると安全性の高い金融商品です。

しかし、あくまで投資である以上は、価値が半分になったり、場合によってはそれ以下になる可能性もあります。

「iDeCo(イデコ)」は老後資金の運用にありかなしか

では、これらの特徴を踏まえて「iDeCo(イデコ)」による老後資金の積み立ては「あり」か「なし」かを考えてみましょう。

「iDeCo(イデコ)」のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
拠出金が全額控除
運用益が非課税
60歳まで引き出し不可
元本割れリスクがある

この中でメリットについては、ある程度の予測が可能です。

上の例(月2万円の積み立て)では、年間5万円程度の税金が還付されるので、40歳の人が「iDeCo(イデコ)」で積み立てたとすれば、20年間で100万円程度の税金が還付されることになります。

また、積み立てる金額は「24万円×20年」で480万円になります。

このことから、20年間で480万円の積み立てに対して運用益に対して100万円分のアドバンテージがあると考えることが出来ます。

また、積み立てる金額は平均化されていく上、20年分の利回りを合算した場合には、480万円の投資に対して、100万円を超える損失が出る可能性は低いように、個人的には思います。

「iDeCo(イデコ)」による老後資金の積み立ては「あり」

このことから、「iDeCo(イデコ)」で老後資金を積み立てるのは「あり」だと個人的には思います。

ただし、若い世代では60歳以降に、「iDeCo(イデコ)」の還付金を受け取るまでに相当な期間があるために、以下のようなリスクが考えられます。

  • 自分が死亡するリスク
  • 「iDeCo(イデコ)」の仕組みが崩壊するリスク
  • 景気が大きく変化するリスク

これらのリスクを考えると、20代や30代の若い頃から「iDeCo(イデコ)」を利用するのは、少し怖いかもしれません。

これらの世代であれば、いつでも引き出しが可能なつみたてNISAによる運用を行う方が良いのではないでしょうか。

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40代以降であれば、所得控除も受けられるために、NISAよりも「iDeCo(イデコ)」の方が個人的にはオススメだと思います。

どちらにしても、上手く利用すればメリットの大きい制度ですので、小さな資金から少しずつ積み立てることが、老後を豊かに暮らすためには必要なことではないでしょうか?

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