FX取引の大きな魅力の一つは、証拠金に対して大きなレバレッジをかけられる事です。
株式投資では信用取引で投資資金の約3.3倍の株を保有することが出来ますが、FX取引では投資資金の25倍の通貨を保有することが出来ます。
今回は、そのFX取引の証拠金とレバレッジの仕組みや、リスクから考えたレバレッジの目安について解説します。
証拠金とレバレッジ
FX取引では、預ける資産を「証拠金」、それに対して何倍の取引をするかというのを「レバレッジ○○倍」というように言います。
証拠金とは
一般的に、私たちがインターネットを通じて行うFX取引の正式な名称は「外国為替証拠金取引」と言われます。
これは、「証拠金を基にして為替の取引をする」ということです。
証拠金とは、いわば「保証金」のようなものでFXの売買で損失を出した時には、保証金から損失が補填されます。
レバレッジとは
レバレッジは「証拠金を基に何倍の取引をしているか」ということで、「てこの原理」などで使う「てこ」を意味する言葉です。
日本では個人がFX取引をする場合には、「金融商品取引法で定められた25倍が上限」となっています。
例えば証拠金が100万円だと最大で2500万円までのポジションを持つことが可能になります。
ちなみに海外のFX業者では、日本とはレバレッジの規制が異なるために証拠金の100倍以上の取引が出来る業者もあります。
証拠金とレバレッジのリスク管理
FX取引は証拠金に対してレバレッジが高いことから、少額で始められることも大きな魅力の一つです。
ただ、裏を返せば「レバレッジをかけ過ぎると破産する可能性が高くなる」ということも言えます。
そして、FX取引を始めた方の中には実際に高レバレッジの取引を続けて、証拠金のほとんどを失うような人もいます。
レバレッジ25倍でFX取引をしたらどうなる?
もし、日本の規制上限であるレバレッジ25倍で取引を続けた場合はどうなるでしょうか?
米ドル円の通貨ペアで、100万円を証拠金に25倍の2500万円の取引をしたとします。仮に1ドル100円でロングポジション(米ドルを買い、日本円を売る)を25万通貨(2500万円)分持ったとしましょう。
この後に円安(1ドル100円より上)に推移すれば利益になり、円高(1ドル100円より下)に推移すれば損失になります。
2500万円のポジションであれば4%動けば100万円の損益が発生することになります。
つまり、米ドル円が1ドル98円になれば証拠金100万円の半分を、96円になれば証拠金100万円を失うことになります。
米ドル円が一瞬で4円も動くのか
為替は株に比べると変動が少ないと言えます。中でも米ドル円は動きの少ない通貨ペアでもあるために、1日に1円も動かない日が大半を占めています。
しかし、要人発言や経済指標の発表などで市場の予想と大きく乖離する場合や、災害などが起こった場合には、一瞬で数円動くこともあります。
年に1回あるかどうかと言えるような頻度とは言え、可能性としては低いとは言えません。
レバレッジ25倍はあくまで規制上限
この事から、レバレッジ25倍はあくまで規制上限であって、リスク管理から考えれば到底管理できるレベルのレバレッジではないと言えます。
デイトレードよりも取引時間の短いスキャルピングトレードであれば、レバレッジ25倍での取引で数十秒から数分で取引するのも出来なくはないですが、それにしてもリスクが高すぎるでしょう。
もちろん、FX取引ではある一定の証拠金維持率を下回れば、強制的にポジションを決済される「強制ロスカット」というのがありますが、それでも一瞬での相場の変動には対応できない場合があります。
過去にスイスフランショックと言われる、悲惨な相場変動がありましたので、相場のリスクを知りたい方はそちらを調べてみてください。
別サイト記事 『スイスフランショック』とは?偽りの聖杯手法に溺れたトレーダーたち
レバレッジは5倍程度が安全の目安
リスク管理を考えると、レバレッジの安全圏は5倍程度が目安となるでしょう。
100万円の証拠金で500万円の取引をするとレバレッジが5倍になります。それでも20%の変動があれば損益は100万円となり証拠金と同等です。
ただ、レバレッジ5倍はあくまで目安です。実際にFX取引する際には以下の事をポイントに証拠金とレバレッジを考えましょう。
長期投資ほどレバレッジは抑えよう
また、投資する期間が長期になるほどレバレッジは低く抑えることがポイントです。
数カ月、数年と持ち続けるのであれば数十%の変動も珍しくありません。比較的安定している米ドル円ですら2012年には70円台だったのが、2015年には120円台まで円安が進行しました。
レバレッジ5倍でもショートポジションであれば、強制ロスカットをくらう推移ですね。
通貨ペアによって変動率は変わる
また通貨ペアによっても、相場の変動率は変わります。
基本的には新興国通貨ほど変動が大きく不安定であると言えます。具体的には南アフリカランドやメキシコペソ、トルコリラなどはスワップポイントが高く人気がありますが、変動も大きい通貨です。
そのため、レバレッジ5倍であっても安全圏とは言えないでしょう。
FX取引の成否は証拠金とレバレッジがポイント
FX取引は株に比べると短期間に同じ価格帯を行き来する性質があるために、1回の売買の勝率は株よりも高くなると個人的には思います。
しかし、レバレッジが高いという誘惑から無茶な資金管理で、破産してしまう人が多いのも事実です。
そのため、証拠金に対して適正なレバレッジをかけて取引することが、FX取引で成功する重要なポイントだと言えるでしょう。
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