公的年金運用がたった3カ月で14.8兆円の損失になった理由と分析【2018年10月~12月】

投資のプロが運用しても相場と変わらない理由

ネットニュースでGPIFの年金運用に関する記事が出ていました。

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、昨年10~12月期で14兆8039億円の運用損が出たと発表した。最近の世界的な株安によるもので、四半期ベースの赤字額は過去最大。以前に比べ、年金資産に占める株式の運用比率を高めており、株価下落の影響を受けやすくなっている。

引用元:ヤフーニュース(URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190201-00000061-asahi-brf)

これにより、年金資金の資産総額は150兆6630億円に目減りしたようですが、およそ10%の資産減となっています。たった3カ月でこれだけの資産の目減りは恐ろしい事ですね。ただ、この事実は良い意味でも悪い意味でも、驚くべきことではないという事を記事にしてみました。

スポンサーリンク

アベノミクスは失敗すれば年金を失う

これは以前から周知の事実ですが、アベノミクスによって年金資金を株式での運用を拡大しているのですから、そうなるのは当然です。現在の株式運用比率は年金資金の50%を運用に回しているのですから、株価が下落すればそれに見合った損失になります。

では、およそ10%程度の資産減とういのは適正かどうかを投資家的見地で考えてみましょう。

日経平均株価と相対的に考える

GPIFの株式の運用は日本株だけでなく外国株式の運用もしています。個人的には、日本の年金を運用するのであれば、国内の株式だけでするべきだとは思いますが、150兆円を超える運用資産から考えても日本株だけでは難しいかもしれませんので、そうなっているのは仕方ありません。

ただ、日本の年金を株式で運用するという事ですから、基本的には日本の株式指数の最も大きな日経平均株価との相対比較が投資効率を考える上で、一番適切だと思います。

というのは、日経平均株価は日本経済の先行きを考える指標としては、もっとも適切だからです。この日経平均株価よりも運用効率が悪いようであれば、平均以下の成績した出せない投資機関は運用する立場としては失格だと思います。

日経平均株価の推移とGPIFの運用損失の比較

2018年10月~12月

  • 日経平均株価:24245円(10月)から20014円(12月)
  • 日経平均の下落幅:4231円
  • 日経平均の下落率:17.4%

細かい数字は省いていますが、10月1日から12月28日までの日経平均株価の時系列から算出した結果では、日経平均株価は17.4%下落した事になります。

対して、GPIFの運用損失は

2018年10月~12月

  • 年金資金:約165億円(10月)から約150億円(12月)
  • 年金資金の損失額:約15億円
  • 年金資金の損失率:9.0%

こちらもざっくりとした計算になりますが、GPIFの年金資金の運用損失は9%程度になります。GPIFの運用は「株式50:国債50」ですから、基本的に損失は資金の半分で運用している株式による損失です。

そう考えると、株式運用に対しての損失は実質18%程度になります。およそ日経平均株価の下落率と同じくらいですね。

GPIFは株式運用で日経平均株価の下落率と同程度の損失をだしている

このことから、次の結論が導けます。

年金資金の運用は株式相場が下落すれば失敗する

株式相場頼みの年金運用

上記のことからわかるのは、結局年金の運用は株価の上下で成功か失敗かが決まるということです。非常に恐ろしい事ですね。積み立てて運用しているはずの、年金資金は株式市場と共に増えたり減ったりしているのです。

でも、なぜ投資のプロが運用しているのに、全体相場と同じような動きにしかならないのという疑問があります。

投資のプロが運用しても相場と変わらない理由

プロが運用しても相場と変わらない理由

  1. 年金資金が大きすぎる
  2. リスクを抑える事に重点を置いている
  3. プロといっても、売買が上手いわけではない

上の3つが、投資運用が相場と大して変わらない大きな理由だと個人的には考えています。

年金資金が大きすぎる

どういう事かと言えば、80兆円(150兆円の半分程度)を運用するには、個人投資家レベルの売買とは別次元の投資戦略が必要という事です。個人投資家であれば、デイトレードも短期投資も長期投資も思いのままです。

しかし、80兆円を運用するには個別株への影響を最大限配慮しつつ、運用するにはそんな自由に売買できるわけではありません。必然的に長期的な運用を強いられるわけですから、たった3カ月程度では運用効率を上げるなんて不可能です。

リスクを抑える事に重点を置いている

株式を運用したといっても、派手な個人投資家のようにマザーズの成長株に1本投資などというわけには行きません。場合によっては数百、数千の銘柄やETFなどに分散投資して、リスクヘッジを最大限に考えているはずです。なぜなら預かる資金は年金資金です。絶対に失敗できません。

プロといっても、売買が上手いわけではない

個人投資家のカリスマBNFさんのような人が機関投資家として売買しているわけではありません。莫大な資金を運用するには、また違った技術や知識が必要になります。短期的に資産を何倍にも出来るような株の売買するような事はしていないはずです。

そういう意味で売買が上手いわけではないという事ですね。

【まとめ】年金資金が相場と共倒れにならない事を祈る

年金資金は株式相場と連動することで成功か失敗というのが今の実態です。ですから、政府としては何が何でも、これは守らなければいけません。

また、アベノミクスとは結局は官製相場による株価の上昇になりつつあります。景気拡大が過去最長といっても、実質的な成長率は最低水準であるのは、国民には周知ですから、最後の砦は株価の上昇だけでしょう。

そう考えると、年金資金を守る上でも、アベノミクスを失敗と言わせないためにも、株価の暴落を避ける事が政府にとっても一番の要所になるはずです。そういう意味でも、要は株価さえ維持できるなら、年金資金の運用は維持できる可能性が高いと思います。

株価下落で年金破綻とならないことを祈るばかりです。

コメント