2013年から2018年頃までは、いわゆる「アベノミクス相場」として上昇トレンドを形成していました。それでも突然株価が下落してしまうケースは年に何度か発生しました。
特に、アベノミクス相場が終わりを迎えた2019年以降では、急落相場が「いつ」「どのような規模」で起きても不思議ではありません。
そのような急落相場では、判断を誤ると致命的な損失を被る恐れもありますので、買い増し(ナンピン買い)をする場合でも常に余力を持って行うべきというのが前回の話でした。
今回は、その買い増し(ナンピン買い)した株は、どういうタイミングで売れば効果的に利益に繋げる事ができるのかを解説します。
買い増し(ナンピン買い)をする理由
下落時の買い増し(ナンピン買い)というのは、株式投資の解説書などでは「平均買付単価を安くする売買手法」などと書かれています。
簡単にいえば、1000円で1000株買って保有していたとして、その後株価が下落し800円になった時にさらに1000株買ったなら平均買付単価は900円になるということですね。
1000円平均で買った株が900円平均になったのなら株価が下げても悪くないなと思うかもしれませんが、良いことだけではありません。
買い増し(ナンピン買い)ではリスクも増加する
買い増し(ナンピン買い)するということは、「投資する金額も多くなる」ということです。
上記の例でいえば、平均買付単価を10%下げるために、当初の1.8倍(最初の100万円と買い増し分の80万円)の金額を投資していることになります。
その後株価が上昇に転じれば良いですが、さらに下げ続けて600円になってしまったらどうなるでしょう。
期待通りの値動きをして、株価が上昇すれば投資家にとって非常にありがたい手法になりますが、保有する株数が増えるのに比例してリスクも上昇するのは忘れてはいけません。
急落時の底を判断するのは難しい
「頭と尻尾はくれてやれ」の相場格言のように、上昇も下落もトレンドの終端は行き過ぎることも多く、特にパニック売りが出やすい急落時には、その底を正確に分析することは難しいと言えます。
何日下落が続いてどこが底になってどれくらい反発するのか、あるいはまた急落するのかなんて普通の投資家には予測は不可能に近いでしょう。
目安として、騰落レシオや空売り比率を参考に底や天井を予測する方法はありますが、それでも何が起こるかわからないのが相場です。


「損小利大」は急落時のナンピン買いには通用しない
であるとすれば、急落時に買い増しした株を長期的に保有するのはお勧め出来ないと個人的には思います。
「株の利益を伸ばすには『損小利大』を心掛けよ」というのは投資においては鉄則です。
つまり、「損をする時は小さく、利益は大きくなるように」という格言ですが、これが急落相場での買い増し時にはタブーだと私は思います。
急落時の買い増しは「損小利小」で構わない
急落時に買い増した株は、一日や二日反発するなら一旦利益確定をして、もしまた下落するようであれば、改めて下で買い戻しをしたらいいでしょう。
下落相場の中、短期投資で少しでも利益が出て、含み損の額を減らすことが出来たのでラッキーだったくらいの感覚で良いと思います。
買い増し(ナンピン買い)するほど株価が下落するという事は、当初の投資判断とは別の動き既に動いているわけですから、固執しすぎると投資資金が膨らみすぎて致命的な損失を出す可能性もあります。
買い増しした株が含み損を抱えたら
また、買い増し(ナンピン買い)した株が利益確定するタイミングもなく、続けて下落したのであれば、元々の保有株と合わせて買い増しした株の分も含み損を抱えることになります。
そうなった場合の決断は非常に難しいと思います。
そういう時は買い増し分を全部売却しろとまでは言いませんが、保有していても苦にならない程度まで買い増しした株を損切りするのも、一つのリスク回避のポイントだと思います。
損切りというのは非常に辛い選択ですが、自分が苦しいと思うほどの資金で株を続けるのは、判断を誤る原因にもなります。
私の場合は極力含み損を抱えても精神的に苦しくならない程度の買い増しに留めています。
【まとめ】ナンピン買いは、上がればラッキー、下げても想定内
急落時にナンピン買いした株は、「上げればラッキー、下げても想定内」と思えるような株数で細かく利益確定を行うのがポイントです。
欲張って一気に含み損を取り戻そうとすると、逆に大きな失敗につながり株式市場から撤退するというのは、非常に良くある話です。
買い増しで一気に急落分の含み損を解消しようとは考えずに、「急落時の含み損の三分の一、四分の一でも買い増し分で相殺出来たら良い」くらいの気持ちで十分だと思います。
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