制度の恒久化でNISAはどう変わる?【開始時期と制度の概要】

制度の恒久化でNISAはどう変わる?

2023年末に政府が公表した「資産所得倍増プラン」によるとNISA(少額投資非課税制度)の恒久化等ついて検討されていることが明らかになりました。

今回は、NISA制度が恒久化することで非課税制度の仕組みがどう変わるのか、いつから開始されるのか等、現時点でわかることについてまとめてみました。

NISAは元々2024年から新制度へ移行予定

「NISAの恒久化」とは関係なく、2024年から現行の「一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA」の3制度から、「新しいNISAとつみたてNISA」の2制度へと変わる予定でした。

しかし、新しいNISAは二段階の投資枠が設けられるなど、個人投資家である私からしてもわかりにくい複雑な制度でした。個人投資家の新規参入を促す制度としては絶望的な制度と言えるでしょう。

しかし、現在「資産所得倍増プラン」でNISA制度の抜本的拡充が要望されていることを受け、新しいNISA制度を一新する形で見直しが行われることになりました。

※金融庁はこれまでもNISAの恒久化を税制改正要望で提案し続けていました

「新しいNISA」ではなく恒久化へ

また、NISAの恒久化は、2024年に始まる「新しいNISA」に代わる形で始まると考えられます。つまり、2024年に「現行NISA」から「新しいNISA」ではなく、恒久的なNISAに変わるということです。

  • 現行NISA→新しいNISA ×
  • 現行NISA→恒久的なNISA 〇

NISAの抜本的拡充の概要は?

現時点で2024年以降のNISAの概要は具体的には決まっていません。しかし、「NISAの抜本的拡充(事項要望)」などから次の事項が検討されるようです。

  • 制度の恒久化
  • 非課税保有期間の無期限化
  • 年間投資枠の拡大
  • つみたてNISAをベースにした一般NISAの機能の引継ぎ
  • つみたてNISAの対象を未成年者まで拡大

制度の恒久化

NISA制度は、2013年に証券優遇税制廃止に伴い新設された制度です。その後、「ジュニアNISA」や「つみたてNISA」など「一般NISA」以外の制度も誕生しましたが、ジュニアNISAは2023年末、つみたてNISAは2042年までの期限付きの制度でした。※一般NISAは2024年以降に新しいNISAへと移行予定でした

この期限付きの制度というのは、長期的な資産運用をする上で非常に煩わしく多くのデメリットが生じる要因でした、今回の見直しによって、NISAの恒久化が実現すれば個人投資家にとって資産運用をより効率的で安全なものにすることができます。

非課税期間の無期限化

NISAの恒久化に伴い、最も注目されるのは非課税期間の無期限化です。これまでの一般NISAでは非課税期間は5年と、資産運用としての投資として効果の薄い制度でした。

背景には2013年の証券優遇制の廃止に伴う、暫定的な代替案としてNISAが誕生したことがあると思います。

しかし、NISA制度の恒久化に伴い、非課税期間に制限を設ける理由がなくなったと言えます。

非課税枠の拡大

NISA制度の抜本的拡充は期限に限ったことではありません。投資枠の拡大も検討されていて、2022年12月現在では年間投資枠の年間240万円への拡大案も出ているようです。

しかし、現時点では恒久化NISA制度の概要も決まっていないので、投資枠について検討するのは時期尚早かもしれません。

一般NISAとつみたてNISAとの統合

つみたてNISAは、一般NISAよりも長期的な投資を目的として、非課税期間25年で設定されています。年間の投資枠は40万円ですが、長期的なつみたて投資の制度として一般NISAよりも資産運用の観点で理にかなった仕組みです。

そして、現行では一般NISAかつみたてNISAのどちらか一方を選択する必要があります。

しかし、NISAの恒久化に伴い非課税期間が無期限になるとすれば、一般とつみたての区別は不要です。そのため、つみたてNISAをベースとした、一般NISA制度の統合も議論されるようです。

また、つみたてNISAを対象年齢を未成年まで拡大することで、2023年に廃止予定のジュニアNISAの代替的な役割も果たすことになりそうです。

恒久化NISAは2024年スタート

どのような制度になるにしても、恒久化NISAは2024年から始まるのは間違いないでしょう。

実現すれば資産運用の大きなアドバンテージ

NISAが恒久化、非課税期限の撤廃、非課税投資枠の拡大が実現すれば、資産運用をする一般国民にとっては大きなアドバンテージになります。

現時点では、個人的には全てが実現するかは懐疑的ではありますが、少なくともNISA制度がより使いやすく、利便性のある制度に生まれ変わるのであれば、ぜひとも今後の進捗に期待したいです。

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