私は約10年前、30代前半でセミリタイア生活を始めて、今はどちらかと言えばFIREに近い生活を続けています。
ここ数年は、FIRE、アーリーリタイア、セミリタイアなどについて書かれている本も数多く出版されていますが、実際にそれらを達成した人の中には、その生活に幸せを見出せず、元の生活に戻る人も多いようです。
10年間セミリタイアやFIREといったライフスタイルを続ける私にも、その生活に幸せを見出せない人の気持ちがわからないわけではありません。
ただ、私自身はセミリタイア生活を幸せだと実感しています。そこで、本記事では、セミリタイア生活の経験から、幸せなセミリタイア生活を続けるための考え方について解説します。
セミリタイアはライフスタイルの一つに過ぎない
正社員として働く生活もセミリタイアもFIREもライフスタイルの分類に過ぎません。セミリタイアしても、その状況に過度な期待をせず幸せになる努力を続けることが大切です。
例えるなら、弁護士の資格を取得しても、それだけで将来が約束されるわけではありません。そこから、さらに勉強し経験を積み重ねて一人前になります。
ライフスタイルも同じように、そのライフスタイルに見合った考え方を身につけることで幸せを実感できるようになります。
幸せなセミリタイアには自由な時間の過ごし方がポイント
セミリタイアというライフスタイルの最大の特徴は、自由に使える時間が沢山あることです。自由な時間をいかに捻出するかと思案していた会社員時代とは真逆の生活です。
ここで大切なのは「自由な時間が沢山あることがセミリタイアの幸せではない」ということです。自由な時間を”有意義”に使えるようになってこそ、セミリタイア生活を幸せなものにすることが出来ます。
フルタイムで働いていても、1年に1度か2度ある大型連休を毎回、誰にも会わず、美味しい物も食べず、ただ家でゴロゴロ過ごすだけだとしたら、それに幸せを感じられる人は少ないでしょう。最初は休めることに喜びを感じても、それが続くなら充実感を味わうことはありません。
セミリタイア生活でも同じようなことが言えます。自由な時間を何の目的もなく過ごすだけでは、多くの人は幸せにはなれません。
自由な時間の有意義な使い方
自由な時間を有意義に過ごすとは常に向上心を持ち続け、ひたむきな努力を続けようということでしょうか?そこまで難しく考える必要はありません。
有り余る時間を有意義に過ごすためには、その人にとって幸せだったり楽しいことをする時間を増やしていこうと言っているだけです。
例えば私の場合は、次のようなことに時間を費やすようにしました。
- パートナーや友人との時間
- 読書
- 美味しい料理を食べ歩く
- ペットと過ごす
- 勉強をする
- 株式投資を続ける
- 興味ある仕事をする
- 映画を観る
その行動が他の人にとって有意義である必要はありません。自分にとって有意義ならそれで良いのです。
何もせず過ごすだけのセミリタイア生活は、いつか必ず辛いものになります。自分自身に何をしたいのかを問いかけ、答えを見つける習慣を身に着けることはセミリタイア生活を充実させる大切な考え方です。
セミリタイアは社会的マイノリティ
次にセミリタイア生活のネガティブな部分に触れてみましょう。セミリタイア生活を実現するということは、圧倒的な少数派になるということです。
私自身の10年超のセミリタイア生活の中で、SNS以外で同じような生活をしている人とは数える程しか出会っていません。
そんな珍しい生き方をしている以上、世間一般の価値観では理解されないことは十分に覚悟する必要があります。
セミリタイア故に理解されない
例えば、気になる異性がいたとしても、セミリタイアという生き方に理解を得られないのであれば、親密になるのは難しいでしょう。セミリタイアをしているから起こる不幸の一つです。
セミリタイア故に社会的信用はない
また、住宅や自動車ローンや賃貸住宅の入居審査は非常に厳しいものになるでしょう。私の経験でも、セミリタイア後の社会的信用は会社員時代に比べると月とすっぽんです。
簡単に通りそうな審査でも、難易度は高くなったり、会社員なら不要である書類や保証人が必要なる場合もあります。
拘らない、諦めよう精神を身につける
ちなみに上記の二つは、私自身もセミリタイア生活で経験した苦い思い出でもあります。
そのような厳しい状況のセミリタイア生活を幸せに送るためには「拘らない、諦めよう」精神が大切です。
価値観の合わない人とは付き合う必要はないし、社会的信用がないのであれば自分の信用に見合う条件に切り替えれば良いだけです。
セミリタイアしてもパートナーを作れる
余談ですが、私自身はセミリタイアしてから知り合った人と結婚しています。
昔に比べると、ライフスタイルも多様化している時代ですからセミリタイアしたからと言って、パートナーを見つけることに絶望する必要まではないと思います。
ローンが組めなければ現金一括
また、住宅や車も私はローンを組まずに現金一括で購入しています。中古の一軒家と新古車の普通車ですが、全く不満はありません。購入価格と比べれば良い買い物ができたと思っています。
また、セミリタイア後でも賃貸住宅の審査は何回か通して引っ越しをしています。
拘らない、諦めよう精神があれば、自分の出来る範囲内で幸せな選択をすることが可能です。
人との繋がりは大切
価値観を理解されない事があると言っても、交友関係を築くのは難しいことではありません。パートナーとしてならライフスタイルの価値観の相違は重要なテーマですが、友人であれば逆にセミリタイアの希少性から興味を持たれることもあります。
人と付き合うのが好きじゃない人には当てはまらないことですが、私の場合には人との繋がりも幸せなセミリタイア生活を送るためには必要だと感じています。
セミリタイア故の社会的疎外感
多くの人がセミリタイアやFIREといった生活を苦痛に感じるのは、経済的な側面ではなく社会的疎外感や孤独感といった精神的な側面が大きいように感じます。
高齢独身者の多くが孤独を感じるように、若くても人との繋がりが希薄であれば孤独を感じるでしょう。
多くの人にとって最大のコミュニティが職場である以上、セミリタイア生活をスタートすれば、職場との繋がりは弱いものになりがちです。
セミリタイアでも交遊関係は広がる
価値観が合わない人を無理に振り向かせようとせず、セミリタイアというライフスタイルを受け入れてくれる人に誠実に向き合えば、セミリタイアしても交友関係を築くことは大きな壁にはならないでしょう。
仕事に費やす時間が少ない分、仕事を通じて交友関係を広めるのは難しくなりますが、反面、仕事以外のことに時間を費やせるのもセミリタイア生活です。セミリタイアしても仕事以外のコミュニティなどから、交友関係を広めていけば出会いは十分にあります。
私の場合は、趣味としてスポーツや勉強のコミュニティなどで交友関係が広がっています。
まとめ
- 自由な時間を有意義に過ごす
- 社会的マイノリティを受け入れる
- 人との繋がりは積極的に広げる
どんな生活をしていても、幸せでいるためには適した考え方や行動があると思います。私は10年超、セミリタイアやFIRE生活を経験しながら、そのライフスタイルで幸せでいるためには、今回挙げた思考法が大切だと感じるようになりました。
セミリタイアにも多様性がありますので、全ての人に当てはまるわけではありません。これからセミリタイアを考えている人やセミリタイア生活に悩まれている人にとって、少しでも参考になる点があれば幸いです。