本記事では、仕事を辞めて1000万円の投資資金で株式投資で生活するとどうなるかを、私の経験をもとに考えてみました。
ある程度の条件を付けて考えてみますが、それでも株は売買する個人投資家の投資スタイルや経験によっても、かなりの多様性があります。
絶対にこうだとは言いませんので、参考程度にどうぞ。
専業投資家になって必要な初年度の利益率
まず、1000万円という投資資金で専業投資家になるためには、どれだけの利益が必要になるかを考えましょう。
子供がいる家庭で、1000万円で専業投資家になるのは現実的ではありません。一人暮らしの人をモデルに考えてみます。
年間30%の利益率の場合
年間で30%の利回りが出せる場合には専業投資家として生活できるでしょうか。
1000万円の投資資金に対して30%の利回りの場合、300万円の利益になります。株の所得にかかる税金は約20%ですから、投資資産1000万円で年間30%の利回りなら、実質240万円/年(20万円/月)が手に入ることになります。
給与所得とは違い、この中から国民年金や国民健康保険料の支払いがあるため、普通に働いて年収300万円の人と比べるとかなり不利になります。決して贅沢な暮らしはできません。
年間30%の利益では専業投資家になるのは難しい
投資資産1000万円で年間30%の利益率の運用をしても、生活は維持できても資産はほとんど増えません。
その状態を続けるのはあまり意味もありませんし、どこかで失敗したら資産も大きく減ることになるので現実的には難しいでしょう。
年間で50%の利益の場合
次に、年間50%の利益を出せるならどうでしょうか。
投資資産1000万円で年間50%の利回りなら、実質400万円/年(約33万円/月)が手に入ることになります。利益率30%と比べると税引後で160万円も余裕がでました。
国民年金等を差し引いても、月に約30万円の手取り収入になり、人によっては生活に余裕が出てくる水準になりました。
資産を増やすことを考えると生活は質素
ただし、利益率50%でも利益の全てを生活に回すのは、30%の時と同様に専業投資家を続けることは難しいでしょう。
年間100万円を投資資産に充当すると考えると、自由に使えるお金は月20万円程度です。やはり、余裕のある生活は難しいでしょう。
投資資産1000万円、利益率50%で質素な生活をしても、10年かけてようやく資産が2倍の2000万円になるわけですから、その間に下落相場にでもなったら専業投資家を続けるのは厳しいでしょう。
年間で80%の利益の場合
最後に年間で80%の利益を出す場合を考えてみましょう。
投資資産1000万円で年間80%の利回りなら、実質640万円/年(約53万円/月)が手に入ることになります。
投資資産1000万円でもここまで利益率が高ければ、生活にも貯蓄にも余裕のある水準と言えそうです。
余裕のある生活水準を保ちつつ、投資資金を増やせる
1ヵ月に25万円を消費したとしても、年間300万円ほど残る計算です。
そう考えると、約3年で資産が倍程度には増えるので、この利回りを3年間維持できるなら専業投資家を続けられる可能性は十分にあると言えるでしょう。
ということで、1000万円の投資資金で専業投資家になるには年間80%の利益率が目安ということがわかりました。
年間80%の利益を出す株式投資スタイル
では年間80%の利益率を続けるためには、どういう投資をすれば良いかを考えてみます。
中長期投資は非現実
年間で80%の利益を出すためには、中長期投資だけでは難しです。1年で80%株価が上昇する銘柄を、的中させ続けるのは現実的ではないからです。
1年で株価が何倍にもなる銘柄もありますが、3000銘柄以上ある中でそれらは、ほんの一握りです。
短期投資が必要になる
そのため、1年で80%という高い利益率を目指すなら短期投資が必要になるでしょう。デイトレードやスイングトレードなど短い期間の売買により、利益を積み上げます。
毎月5%程度の利益を積み重ねることが出来れば、複利計算で年間に80%くらいの利益になるでしょう。
月に5%の利益を出すには
月に5%の利益を出すには、1週間で約1%の利益を出す必要があります。デイトレードやスイングトレードに自身のある人なら不可能ではありません。
言うは易し行うは難し
ただ、ほとんどの人にとって、1週間で1%の利益を積み上げ続けることは難しいでしょう。
この記事を書いている私自身も、文章にすると簡単に見えるのに、実際に自分でやってみると難しいことだというのがわかります。
仕事を辞めて専業投資家になるならリスクヘッジを
もし、1000万円の投資資金で専業投資家になるとすれば、必ずリスクヘッジをするべきです。
投資をしながら空いている時間に少しでも副業をするとか、資格の勉強をして手に職をつけるなど、もし失敗したとしても大きな痛手を被らないような工夫です。
そう言ってしまえば、兼業投資家ということになりますが、やはり専業投資家になるには資金1000万円ではリスクが高いと言えます。