今回は、株式投資によって損失が出た場合でも確定申告しておけば、将来的に節税につながる3年繰越控除について、メリットと注意点を記事にしました。
※確定申告では私を含め一般人にはかなり複雑な条件のもとに税額の計算やそれ以外のことに影響を与えます。一概にこれが正解というには、難しいものがありますので、この記事は参考程度に読んでいただきたいと思います。
株式投資で損失が出たときは確定申告しておこう
株式投資をしている個人投資家では、私を含めて多くの場合は「特定口座の源泉徴収あり」で口座を開設していると思います。この源泉徴収のメリットは何と言っても、株の利益を確定申告しなくても良いという点です。
株の利益をわざわざ確定申告しに行くのは、税金の計算に縁のない人や忙しい生活を送る人にとっては非常に煩わしいことですから、源泉徴収してくれるのは非常にありがたい制度です。
しかし、確定申告は所得を申告するだけでなく、時には救済措置として利用できる場合があります。それは株式投資で損失が出ている場合も当てはまります。
確定申告することで損失を3年間繰越控除できる
利益が出ていないのにわざわざ面倒な手続きをするのは、損失を申告することで翌年から3年間、その損失分を繰越控除できるからです。
繰越控除といっても、聞き馴染みのない言葉だと思いますが、簡単に言えば「3年間は利益が出ても申告した損失を差し引くことがができますよ」ということです。
利益から損失を差し引くことで、利益にかかる税金が安くなります。例えば100万円を繰越控除して翌年に100万円の利益が出たとしても繰越控除すれば、プラマイ0になるので税金がかかりません。
特定口座で源泉徴収されたまま繰越控除の確定申告をしないでいると、約20万円の税金が差し引かれたままになりますから、この違いは大きいですね。
譲渡損失の3年間繰越控除のポイント
この損失の繰越控除ですが、詳細は国税庁のサイトから確認できます。
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm
ただ、ちょっと細かすぎる所もあるので、要所だけをまとめてみましょう。
繰越控除のポイント
- 損失を確定申告する
- 翌年以降も続けて確定申告する
- 譲渡益がない年も譲渡損を翌年へ繰り越すための申告が必要
つまり、繰越控除を適用する期間はずっと確定申告が必要になるということです。
損失が出た年だけでなく、その後も適用するのであれば申告しなければいけません。もし、その期間内に確定申告をしない場合には、その後に損失を繰越控除することは出来ません。
ケース | 申告と控除の有無 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|---|---|
事例A | 確定申告 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
繰越控除の適用 | – | 〇 | 〇 | 〇 | |
事例B | 確定申告 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
繰越控除の適用 | – | 〇 | × | × |
※事例Bでは3年目に確定申告をしていないので4年目に確定申告をしても、繰越控除が適用されない
3年間繰越控除の注意点
また、繰越控除にはもう一つ注意しなけらばいけないポイントがあります。それは、繰り越した損失よりも利益の方が大きかった場合に、合計所得が多くなるということです。
合計所得とは、扶養控除や配偶者控除を適用している人や国民健康保険の加入者などに影響します。合計所得が多くなると、控除が受けられなくなったり、国保料が高くなるリスクがあります。
ですから、損失を繰越控除していても、控除した後にも利益が残るようであれば、合計所得への影響がどうなるかを考える必要があります。
内容 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 |
---|---|---|---|---|
年間譲渡損益 | -300万円 | +100万円 | +150万円 | +150万円 |
繰越控除残額 | – | 300万円 | 200万円 | 50万円 |
控除利用額 | – | 100万円 | 150万円 | 50万円 |
控除後の合計所得 | 0円 | 0円 | 0円 | 100万円 |
「特定口座源泉徴収あり」なら合計所得は増えない
株の利益は確定申告することで合計所得も増加しますが、「特定口座源泉徴収あり」の口座で確定申告をしなければ、合計所得に影響はありません。
そのため、確定申告をしなければ繰越控除は適用できませんが、合計所得は増えることはありません。
【まとめ】譲渡損失は繰越控除した方が良いが、利益の方が大きくなる年は注意が必要
損失が出た年に繰越控除をした方がいいのは、間違いありません。
しかし、繰越控除を適用していき最終的に利益の方が大きくなった年には合計所得への影響に対する注意が必要です。
※この記事は私の体験と調べによるものですが、専門家ではありませんので誤りがある場合もあります。この記事の内容により不利益を被った場合でも一切の責任はとれません。確定申告をする際には、必ずご自身で税務署や専門家、各自治体にご確認ください。
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