長短を問わず下落相場への転換期に大きな失敗をした経験のある個人投資家は多いと思います。今回はそんな下落相場に入りつつある株式市場で注意するべきポイントを解説します。
下落相場は常に個人投資家の予測を超える
下落相場では下落の大きさや速さは、常に個人投資家の予測を超えます。過去の日経平均株価のチャートをご覧いただくとわかると思いますが、上昇相場に比べると下落相場の株価の変動は短期的にも大きく動く特徴があります。
そういうジェットコースターのような相場で、相場の先行き予測することは難しく、「普通ならありえない」とか「理論的にこれ以上売られるはずがない」と考えて、株の売買をするべきではありません。
私自身、自分の予測をはるかに超える下落を何度となく経験しています。下落相場では自分の予測は当てにならないものだという認識は持っているために、致命的な損失を出すことはありませんでしたが、一歩間違えば株式投資を続けられないくらい大きな損失を出す可能性もありました。
下落相場が個人投資家の予測を超えるというのは、個人投資家が未熟だからというだけなのでしょうか?もちろん、機関投資家に比べて情報や知識、経験が少ないというのは事実ですが、個人投資家の予測を超える下落になるには、具体的な理由があります。
信用取引の追証売り
下落相場が予測を超える厳しいものになる理由の一つに、信用取引の「追証売り」があります。
これは、信用取引の買い建玉が株価下落によって含み損になり証拠金が不足することにより、強制的に売却しなければならない状況に陥ることで発生します。
長期的に上昇相場が続いている状況では、信用取引枠を利用して、相場が少し下がったら買い増しをしていた個人投資家も多いでしょう。
上昇相場の一時的な下落であれば、信用取引枠を利用してレバレッジ取引をすることで大きな利益を得る事ができます。
しかし、下落が一過性ではなく投資家の想像を超える場合には、信用取引を利用している個人投資家の追証売りによって、異常なバランスの成行売りの注文が発生することがあります。
機関投資家のシステマテッィクな売り
機関投資家は、個人投資家に比べて取引ルールが厳格化されているのは言うまでもありません。
そのため、機関投資家は下落相場においてのリスク管理も徹底していて、どんな状況であろうとも一定のリスク水準を超えたなら躊躇なく売ってきます。
また、逆にヘッジファンドなどは空売りを積極的に行うこともあり、そういった売り玉も下落を加速させる要因になります。下落相場の性質を良く知っている分、そういう売り注文にも躊躇がありません。
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底が見えない恐怖心
そういった売り注文が続いて、株価がどんどん下落してくと、次第に投資家全体に底が見えないことへの恐怖心が広がります。
自分の予測していた底値を何度も割ってくるような相場になれば、自分の投資経験に疑いを持つようになり、投資の指針が見えなくなります。
それも、下落に拍車をかける要因になり、下落相場は個人投資家の予測を超える結果になりやすいのです。
下落相場で勝ちにいってはいけない理由
これまでの内容を読めば、なぜ下落相場で勝ちにいってはいけないかはわかると思います。下落相場で積極的に底を狙って売買すると、想像を超える下落で大損する可能性が高いからです。
「ここで反発する」「これ以上は下がらない」と考えて投資資金の多くを使って株を買ってしまうと、その予測を超えた下落に取るべき手段がありません。
たとえ、これまでの投資で100%の利回りを稼ぎ、資産が2倍になっていたとしても、たった50%の損失を出せば資産は元通りです。
そういう意味で、株式投資では上昇相場で勝つことよりも、下落相場で資産を守る事の方が難易度が高く、重要な要素だと言えます。
仮に、反発による買い増し機会を逃したとしても、資産が減るわけではありません。
下落相場での投資資産の守り方
「下落相場で勝ちにいかない」とは、今ある資産を守るということです。下落相場で投資資産を守るには次のことを意識しましょう。
- 買い増しは小ロットで行う
- 下落が想定を超えた時点で一部損切りする
- 下落相場で信用取引はしない
下落相場で、下落の底を決めつけて投資をすれば、それを上回る下落になった時に迅速に対応できるものではありません。
常に余裕のある資金で、いつでも最後の一手が残っていると思える状態であることが重要です。