割安株・好財務株が思うように上昇しない理由
2018.09.13
中長期を主体に株式投資をしている私の投資スタイルでは、基本的に低PER/PBR銘柄や好財務な銘柄を保有しています。
今回は「なぜ割安、財務良好銘柄は思うように上昇しないのか」という疑問について解説していきます。
割安株、好財務株とは?
「割安」や「好財務」とはどういう銘柄を指すのでしょうか。
「割安株」とは?
割安株とは、株価がその実際の価値よりも低く評価されていると考えられる株式のことを指します。つまり、割安株は実際の企業価値よりも株価が安くなっており、投資家にとっては理論上、購入する価値があると見なされます。
具体的には、株価収益率(PER)や純資産倍率(PBR)など、収益や財務と株価を比較する指標が、平均的な株と比べて低い銘柄が割安株と言えます。
「好財務株」とは?
「好財務株」とは、良好な財務状態を持つ企業の株式のことを指します。これらの企業は、一般的に健全な財務指標を持ち、安定した収益性、キャッシュフロー、負債比率、利益率などを維持しています。
好財務株を特徴付けるいくつかの要素には以下のようなものがあります。
- 安定した収益性: 利益率が安定しており、長期間にわたって一貫した利益を出している
- 健全な負債比率: 健全な企業は、負債比率が適切であり、借入金を返済する能力があることが特徴
- 良好なキャッシュフロー: キャッシュフローが健全で、事業運営に必要な資金を賄える能力がある
これらを判断するためには、決算書に記載されている財務諸表などが参考になります。
また、私の場合は、財務諸表を読まずに、簡易的に企業の財務の健全性を判断するのに、自己資本比率や利益剰余金、有利子負債などを用いています。
- 自己資本比率が高いほど負債は少なく
- 利益剰余金が多いほどキャッシュが豊富で
- 有利子負債が少ないほど金利リスクが少なく
こちらは、会社四季報の財務状況の一覧などが参考になります。
なぜ割安株、財務良好株は上がらないのか
私の保有している割安株や好財務銘柄の中には、長期間そのままの状態で放置され株価が上がらない銘柄も数多くあります。
全体の動きに取り残されているように感じる、それらの銘柄はなぜ上がらないのでしょうか。
理由1:なるべくして割安株、財務良好株になった
割安株、財務良好株は元々そうだったわけでなく、競争の中で淘汰されて割安株、好財務株になったということです。
つまり、他に比べて割安、財務良好な銘柄の中には「落ちぶれた結果そうなった銘柄」もあります。
理由2:株主にとって魅力がない
割安、好財務銘柄には、将来性を感じるような魅力が少ないのも特徴です。
投資家にとって、大きな魅力の一つは会社の成長性です。業績の伸びが期待される会社であれば、PERやPBRが高く負債が多くても投資家は積極的に投資します。
しかし、「業績が伸びる要素がない」と判断されれば割安で財務良好であっても注目される機会が少なく、投資家による積極的な買いは入りません。
理由3:投資家の慢性的な不信感
会社の業績予想や新製品の発表、新しい事業の発表などは投資家にとって非常に注目すべき内容です。
良い業績予想であれば先高を期待して投資家の買いが入るし、魅力的な新製品や事業内容が発表されれば、投資家の期待買いは入ります。しかし、それらの内容が期待外れに終わったら投資家の失望売りが入ります。
業績の下方修正や新製品の売れ行き不振、新事業の不振続きなどが繰り返されれば全体の業績は黒字であっても、投資家に「この会社の経営能力は低い」と判断されてしまいます。そうなると、簡単には株価が上昇しない割安、財務良好株の出来上がりです。
理由4:株価に無関心な経営
株主にとって株価の推移は非常に重要ですが、経営者にとっては必ずしもそうとは限りません。
株価に関心を持って、投資家を意識する経営者なら、自社株買いや配当の増額、積極的なIR情報の発信などで投資家にとって魅力のある会社であることをアピールします。
それに対し、株価・株主に無関心な経営者は株価が下落しようと安値で放置されようと気にしません。
それが見透かされると既存株主にも見限られ株価の低迷が続きます。株価水準は経営者によって大きく変わります。
割安株、好財務株を上手に売買する方法
割安、好財務株の売買は「集中投資ではなく分散投資」、「一度に買うよりナンピン買い」です。いずれ見直されるまで、気長に釣りのように待ちましょう。
割安、財務良好特有の投資家にとってのメリットもいくつかあります。
下値が限られるから買い下がりやすい
人気株、成長株であれば業績が鈍化すると株価が半分、四分の一になることも珍しくありません。
しかし、割安株・好財務株は元々、株価に期待が入っていない分、下値余地がそれほどないのが特徴です。そのため一度に大量に株を買うよりも、少しずつ切り下げて買う(ナンピン買い)のに適しています。
例えば株価1000円の割安、好財務株があるとして、まずは1000円で100株買い、あとは5%下がるごとに100株ずつ買い増しするといった買い方です。
買い下がった分が5%戻したら売却して、また下げるなら再び買い増し、それを繰り返すだけでも利ザヤを十分に稼ぐことが出来ます。これは下値余地が限られる可能性が高いからこそ出来る売買です。
とにかく分散投資
割安株、財務良好株は、日々の株価変動や出来高が少ないという特徴があります。ですから複数の銘柄を保有していても、株価動向をチェックするのは手間になりません。割安・好財務株は値動きが少ない分、分散投資でもポートフォリオの管理は比較的簡単に済みます。
このように割安株・好財務株は不人気だから、扱いやすいのも特徴です。