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【株式投資】配当金を損益通算する場合は確定申告の必要?

今回は、株式投資の配当金と譲渡損失を損益通算における注意点や確定申告の必要性について解説します。

※この記事による判断をもとに不利益を被った場合でも一切の責任はとれません。確定申告をする際には、必ずご自身で税務署や専門家、各自治体にご確認ください。
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配当金と売買譲渡損益

株式投資による利益には「配当金」と「売買譲渡益」があります。配当金は企業の利益や剰余金を株主に還元するもので、譲渡益は株の売買によって生じた利益です。

株式投資には売買譲渡損失が発生するリスクも

配当金はマイナスになることはありません。しかし、株式投資の売買は必ずしも譲渡益が発生するわけではありません。

時には、売買譲渡益ではなく売買譲渡損失が発生することがあります。この際に、配当金による所得と売買による損失を相殺する仕組みを「損益通算」と言います。

※譲渡益と譲渡損失の相殺も同様に損益通算です

配当金の損益通算には確定申告が必要?

まず、初めに損益通算における確定申告の必要性について解説します。結論から言えば、次の場合には必要ありません。

特定口座(源泉徴収あり)で譲渡損失より配当金の方が多い

損益通算のための確定申告が必要ないのは次の場合です。

  • 特定口座(源泉徴収あり)を利用
  • 同一証券口座で配当金と譲渡損失が発生
  • 特定口座で配当金を受け入れるを選択
  • 配当金の方が譲渡損失よりも多い

この4つの条件を満たしている場合には、特定口座内で配当金と譲渡損失の損益通算されるため損益通算のための確定申告は不要です。

例えば、配当金100万円、譲渡損失30万円であれば、特定口座内で損益通算されて70万円の所得に対して、源泉徴収が行われます。

※ただし、証券会社によっては扱いが異なる可能性があります。確認の際は、ご利用の証券会社にお問い合わせください

配当金の損益通算に確定申告が必要な場合

上記の条件以外で、配当金を損益通算に用いるためには、やはり確定申告が必要になります。具体的には次のような例があります。

配当金の額より譲渡損失の方が多い場合(必要でなく推奨)

上記の4つの条件を満たしていても、配当金よりも譲渡損失が多い場合は確定申告をすることで損失の繰越控除の適用が受けられます。

繰越控除を適用することで、3年間以内に生じた譲渡損失を損益通算に用いることが可能になります。当年の配当金で損益通算をしても、余剰に損失があるのであれば、確定申告をすることで来年度以降の配当金とも損益通算をすることができます。

ただし、繰越控除を利用するなら、翌年以降も利用する期間は確定申告が必要になります。

別の証券口座で発生した譲渡損失と損益通算する場合

特定口座は同一証券会社で行われた株の売買や配当金の受け取りにしか適用されません。

そのため、別証券会社で生じた譲渡損失に対して配当金を損益通算に用いるなら、確定申告が必要になります。

特定口座で「配当金を受け入れる」を選択しなかった場合

「特定口座(源泉徴収あり)」を利用していても「配当金を受け入れる」を選択しない限り、特定口座内で配当金の損益通算は行われません。

そのため、同一証券会社内の配当金と譲渡損失であっても、確定申告が必要になります。

特定口座(源泉徴収なし)または一般口座を利用している場合

この場合は、損益通算の有無に関わらず、株式投資によって配当金または譲渡益が発生しているなら確定申告が必要になります。

同じ証券口座でも別の年の譲渡損失と配当金を損益通算する場合

特定口座での源泉徴収は1年単位で行われます。そのため、予め確定申告で損失の申告をしている別年度の譲渡損失と損益通算する場合には、確定申告が必要になります。

損益通算のための確定申告の注意点

ただし、確定申告を用いる場合には、次の点に注意が必要です。

損益通算するなら配当金は申告分離課税で申告

確定申告により配当金と譲渡損失を損益通算する場合の注意点は、配当金は「申告分離課税」で申告しなければいけないことです。

確定申告の課税方式には「総合課税」と「申告分離課税」があります。

譲渡損益は申告分離課税でしか申告出来ませんが、配当金は総合課税でも申告分離課税でも申告が可能です。

配当金を総合課税で申告した場合には「配当控除」が適用されますので、損益通算するか配当控除を適用するかは、所得の状況に応じて判断する必要があります。

確定申告で国民健康保険料が上がることも

特定口座で源泉徴収している人が確定申告することで、所得税だけでなく住民税においても株式投資の損益が合算されます。

そのため、配当金に対して、損益通算する譲渡損失が少額だった場合には、国民健康保険料の算出に用いられる所得金額が多くなり、国民健康保険料が高くなる可能性があります。

場合によっては、損益通算で受ける還付よりも、国民健康保険料の値上がり額の方が多くなる可能性もあるので、国保加入者は注意が必要です。

損益通算の確定申告に対する私の考え方

個人的には、確定申告自体が面倒なので、株のためだけに確定申告するのは迷うところです。

受け取った配当金の額、譲渡損失の額のどちらもが大きく、同程度であるなら確定申告をしますが、どちらも少額または配当金の方が極端に多い場合には、私は申告しないと思います。

各人の収入形態によっても確定申告の内容は大きく変わるので、試算して損益通算するメリットが大きいかを考える必要があります。

※この記事による判断をもとに不利益を被った場合でも一切の責任はとれません。確定申告をする際には、必ずご自身で税務署や専門家、各自治体にご確認ください。