ローソク線は株価チャートを読むための最も基本となる要素です。ローソク線の見方を知ることで、テクニカル分析の基礎が出来ると言っても過言ではありません。
本記事ではローソク線の基本的な知識と売買判断としての読み方について解説します。
ローソク線の基本
ローソク線は最も基本的なチャートで「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの値から構成されています。その形がローソクに似ていることからローソク線という名称で呼ばれています。
ローソク線は任意に期間設定されますが、主なローソク線は次の3つです。
- 日足(ひあし)・・1日のローソク線
- 週足(しゅうあし)・・1週間(月曜から金曜)のローソク線
- 月足(つきあし)・・1ヵ月のローソク線
基本的なローソク線
ローソク線は主に始値と終値が異なる「陽線」と「陰線」から構成され、それぞれ以下のようにローソク線で表されます。
「上ヒゲ」と「下ヒゲ」
ローソク線の実体は「始値と終値の差」ですが、実体から「高値」と「安値」の差を「ヒゲ」と言います。
テクニカル分析のためにもローソク線チャートの「上ヒゲ」と「下ヒゲ」は重要な判断要素になります。
ちなみに、ローソク線の最高値や最安値がそのまま始値や終値になっている場合はヒゲは出ません。
特殊なローソク線「寄引同時線」
陽線と陰線は基本的なローソク線ですが、それ以外にもローソク線で表される形状があります。
それは、始値(寄付き)と終値(大引け)の株価が同じだった時に現れる「寄引同時線」と呼ばれ、始値と終値が同じ値になるため実体のないローソク線になります。
寄引同時線
以上がローソク線の基本になります。
ローソク線の形状や組み合わせで売買の強さがわかる
ローソク線の形状や連続するパターンから、その株の売買の強さがわかります。
実体や上ヒゲ・下ヒゲの形状や長さを基に、将来の株価を予想することがローソク線を使ったテクニカル分析です。ここからは、ローソク線を使ったテクニカル分析を説明しましょう。
単体のローソク線を使ったテクニカル分析
まずは、ローソク線単体でのテクニカル分析を解説します。ローソク線の形状のみで今後の株価推移を予想することが出来ます。
買いサイン「株価上昇を予測する形状」
大陽線
大陽線はヒゲが短く実体の長いローソク線。積極的な買いが多く、翌日以降も株価が上昇しやすい
陽線坊主
陽線坊主はヒゲがなく陽線の実体だけのローソク線。こちらも大陽線同様に買いが強く、株価の上昇が期待されます。
下ヒゲ
下ヒゲは下ヒゲが長いタイプのローソク線。この場合には、一度は安く売られるも買い戻しが強く株価が持ち直しているため、今後も株価が上昇する可能性を示唆しています。また、「陰線下ヒゲ」よりも「陽線下ヒゲ」の方が上昇期待は高いことも特徴の一つです。
売りサイン「株価下落を予測する形状」
大陰線
大陰線はヒゲが短く実体が長い陰線。強い売り圧力が観測されているので、翌日以降も株価が下落しやすい。
陰線坊主
陰線坊主は陰線の実体のみのローソク線。買いの勢いがなく売り圧力が強いために、株価の下落が予想されます。
上ヒゲ
上ヒゲは一度は大きく株価が上昇するも、利益確定の売りに押されて始値と終値が近い(同じ)状態。「陽線上ヒゲ」よりも「陰線上ヒゲ」の方が、強い売りサインとなります。
十字線は株価転換のサイン
ローソク線の中でも、十字線は株価が転換する時のサインとして知られています。
なぜ、十字線が転換のサインになるかと言えば、十字線は買いと売りが拮抗している状態を示すからです。そのため十字線は一つのトレンドが終わりを迎える時に出てきやすいローソク線の形状とも言えます。
ただし、十字線はトレンドの「踊り場」にも出てきます。
踊り場としての十字線では更なる「踏み上げ相場」または「下落相場」になる可能性があります。どちらの十字線かの見極めには投資経験が求められます。
複数のローソク線の組み合わせ
ローソク線単体よりも複数のローソク線から判断すれば、より株価推移の予測精度は高くなります。代表的な複数のローソク線を使った売買サインを解説しましょう。
ローソク線の組み合わせによる売買サイン
窓を開ける(ギャップアップ・ギャップダウン)
直前のローソク線に重ならないように、新しいローソク線が現れる組み合わせを「窓を開ける」と言います。
上昇による窓開けを「ギャップアップ」と言い強い買いサイン、下落による窓開けを「ギャップダウン」と言い強い売りサインになります。
包み線(抱き線)
「包み足」は「抱き線」とも言われ、直前のローソク線を包み込むように、ローソク線の実体が作られているパターンです。
上昇相場で、陰線が陽線を包んだ時は天井のサイン、下降相場で陽線が陰線を包んだ時は底打ちのサインとなります。
はらみ線
「はらみ線」は包み足の反対に、直前のローソク線の実体によって、包み込まれるようにローソク線が作られるパターンです。
陽線のあとに陰線が現れる「はらみ線」は上昇相場の反落のサイン、陰線のあとに陽線が現れる「はらみ線」は下落相場の反発のサインとなります。
投資期間に合ったローソク線を利用する
異なる期間のローソク線を見る事で売買判断は変わります。
例えば、日足で判断していたものを、週足、月足と変えるだけでも、異なる売買サインが見えるかもしれません。
ですから、ローソク線から売買サインを探すなら、複数の期間のローソク線を比較するのが良いでしょう。
また、自分の投資する期間に応じて、投資判断に用いるローソク線を考えるのも大切です。
1日から数週間程度なら「日足」を、数週間から数カ月なら「週足」を、数カ月から数年間なら「月足」を参考にするのが良いでしょう。
ローソク線はチャートを読むための一番大切な知識です。株式投資だけでなくFX取引や先物取引でも、最初に覚えるべきテクニカル分析の基礎がローソク線です。
投資初心者にとっては慣れない言葉で覚える事もたくさんありますが、ローソク線の知識は必ず身につけておきましょう。