チャートから株価の推移を予測するテクニカル分析の基礎は「ローソク線」と「移動平均線」です。
今回はテクニカル分析の基礎の一つ「移動平均線」について解説します。
移動平均線とは
移動平均線は、一定期間の株価の終値の平均値を計算しグラフで表したものです。
例えば、5日間の終値の平均値を繋いだ移動平均線は「5日移動平均線」と呼ばれています。移動平均線は最も基本的なテクニカル分析指標で、単純な分析手法ですが信頼性が高い指標と言えます。
移動平均線はローソク足と組み合わせて、売買のタイミングを計るのが代表的な分析方法です。移動平均線は、その日を起点に過去の特定の期間の平均値を求めたチャートですから、ローソク線に比べて遅行して推移します。
また移動平均線は、MACDやボリンジャーバンドなど、他のテクニカルチャートとも併用して利用されています。
移動平均線の求め方
移動平均線は、設定する期間の平均値から導かれます。
今回は5日移動平均線を例に挙げてみましょう。5日移動平均線とは、特定の日を起点として5日間の終値の平均値を算出してグラフ化したものです。
仮にこの期間の移動平均線を算出するとします。平均値は当日の終値を含めて5日分のデータがわかる、4/5~4/9の平均値は算出することができます。※上記のデータだけでは4/1~4/4は算出する事ができません。
次のグラフは上記のデータから算出したローソク線と5日移動平均線のチャートです。また、移動平均線は各日の終値を基準にするので各日の高値、安値、始値は移動平均線の算出には関係ありません。
日経平均株価の移動平均線の例
下のチャートは、日経平均株価のローソク線と5日移動平均線の複合チャートです。
このように、移動平均線はローソク線に追随(遅行)する形で推移しているのがわかります。
これは5日移動平均線ですので、グラフの動きは比較的ローソク線に早く追随していきますが、長期の移動平均線になるほど、グラフは緩やでローソク線チャートから遅行して推移します。
5日、10日、20日の移動平均線で比べてみると良くわかりますね。
移動平均線の期間
テクニカル分析で用いられる移動平均線は短期・中期・長期を複合して利用されるのが一般的です。
移動平均線に用いられる期間の代表例
- 短期:5日移動平均線
- 中期:20日移動平均線
- 長期:60日移動平均線
これは、日足の移動平均線を利用する時の一般的な期間例です。5日、25日、75日である理由は、営業日ベースで1週間、1カ月、3カ月になるため一般的に利用される期間となります。
移動平均線を用いたテクニカル分析の方法
移動平均線を用いたテクニカル分析には大きく2つの方法があります。
ゴールデンクロスとデッドクロス
1つはトレンドの転換点を移動平均線から判断する分析手法です。期間の異なる移動平均線が交差する事で、株価トレンドの変化を示唆しています。
その仲でも代表的な手法はゴールデンクロスとデッドクロスです。
ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上に突き抜けることを言います。短期間の平均値が高く、長期間の平均値が低いことから、株価のトレンドが上向きであると判断できます。
逆に、デッドクロスとは短期の移動平均線が長期の移動平均線を下に突き抜けることを言います。短期間の平均値が低く、長期間の平均値の方が高いことから株価のトレンドが下向きであると判断できます。
支持線と抵抗ライン
もう1つは、株価の支持線もしくは抵抗ラインとして移動平均線を使う手法です。長期の移動平均線であるほど支持線、抵抗線として強く働きます。
株価チャートが上昇トレンドを形成している場合には、現在の株価は基本的には移動平均線の上部に位置しています。なぜなら、移動平均線は株価チャートに遅効するからです。
しかし、株価の変動は一定ではありませんから、株価が下落する日もあります。株価が下落した時に、移動平均線が支持線としてトレンドの下値基準となります。
5日移動平均線を割り込んだら短期の上昇トレンドは一旦崩れます。次は20日移動平均線の中期のトレンドが意識されます。そして、20日移動平均線を割り込んだら中期のトレンドは崩れ、今度は長期のトレンドが意識されるようになります。
短い期間の移動平均線から割り込むことで、次第に長期の移動平均線が意識されますが、支持線としての働きは、移動平均線が長期になるほど強くなります。
この支持線は「抵抗ライン」とも呼ばれます。ローソク線チャートの下にある移動平均線を下値抵抗ライン、上にある移動平均線を上値抵抗ラインと呼びます。
移動平均線はテクニカル分析の中でも基礎中の基礎です。ですから、テクニカル分析を勉強するなら、まずは移動平均線を身につけると良いでしょう。
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