テクニカル分析の一つである、RCIは「Rank Correlation Index」の略称で、日本語では「順位相関指数」として知られています。
テクニカル分析の中でも、株価ではなく「株価の順位」を対象にした分析方法で、実にユニークながらトレンドの強さや過熱感を分析するのに長けた手法です。
今回は、そのRCI(順位相関指数)について基本や使い方を解説します。
RCI(順位相関指数)の基本
RCIは、期間内の株価の終値の順位に注目したオシレーター系のテクニカル分析です。
例えば5日間で株価の終値が次のように推移したとすれば、順位はこのようになります。
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 |
---|---|---|---|
1日目 | 1000円 | 5 | 5 |
2日目 | 1010円 | 4 | 4 |
3日目 | 1035円 | 3 | 1 |
4日目 | 1015円 | 2 | 3 |
5日目 | 1020円 | 1 | 2 |
これらの値を使ってテクニカル分析をするのが、RCIによる分析手法です。
RCI(順位相関指数)の計算式
では、これらの値をどのように利用してテクニカル分析として応用するのでしょうか。
RCIの計算式は以下のようになります。
ハッキリ言って、面倒くさい計算式ですね。
言ってしまえば、日にちと株価の順位付けをして、そこから導かれる数値で買われ過ぎか売られ過ぎかを判断しているだけです。
この計算式でまず抑えたいのは次のポイントです。
そしてRCIが+100に近づくほど「買われ過ぎ」、-100に近づくほど「売られ過ぎ」と判断されるのがRCIの基本的な投資判断です。
では、この値をわかりやすく解説するために、RCIが100になる場合を例として挙げてみましょう。
RCIが+100になる場合
RCIが+100になるということは、最も買われ過ぎているという判断になります。
では、株価の順位付けがどうなればRCIが+100になるのでしょうか?
以下の表はRCIが+100になる5日間の株価推移です。
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 |
---|---|---|---|
1日目 | 1000円 | 5 | 5 |
2日目 | 1010円 | 4 | 4 |
3日目 | 1025円 | 3 | 3 |
4日目 | 1030円 | 2 | 2 |
5日目 | 1040円 | 1 | 1 |
では、この株価推移をRCIの計算式に当てはめてみましょう。
RCIの計算式を見てわかるように、1からマイナスする部分が0になれば、+100という数値になります。
つまりマイナスする部分の分子(6d)が0になれば、RCIは+100になります。
「d」の計算式は各日の「日付順位ー価格順位」を2乗して足したものです。
つまりこの表では、日付順位も価格順位も等しいことから、各日の「日付順位ー価格順位」は全て0ということになります。
ということは、1からマイナスする部分も0になり、RCIが+100になるということです。
RCIが100になる意味
では、このRCIが+100になるには、どういう条件が必要だったのでしょうか?
これは非常にシンプルで
ということになります。
毎日、株価が上昇し続ければ、それが一番の買われ過ぎのサインになるというのは、非常にシンプルなテクニカル分析ですね。
RCIによる売買判断

上の図は、株価チャートと9日間のRCIを表したものです。RCIは0を挟んで上下に100までの値があるのがわかります。
RCIでは+100に近づいた時を高値圏、-100に近づいた時を底値圏として判断します。
RCIでは、いくつかの売買判断できるシグナルがありますが、主なのは次の2つです。
RCIの向きによる売買判断
RCIの向きに注目した売買シグナルは、RCIの傾きが変わるタイミングです。
- 買いシグナル・・RCIが下げ止まり、上がり始めるタイミング
- 売りシグナル・・RCIが上げ止まり、下がり始めるタイミング
RCIの範囲による売買判断
RCIの範囲に注目した売買シグナルは、RCIの値の位置で判断します。
- 買いシグナル・・底値圏(-80%や-90%)に突入したら買い
- 売りシグナル・・高値圏(+80%や90%)に突入したら売り
といったように、高値圏と底値圏に入るタイミングが、過剰なバランスになっている状態だと判断して、売買サインとして捉える方法です。
補足:短期と長期のRCIのクロスによる売買判断
また、長短の複数のRCIを利用して、短期が長期を上抜けるゴールデンクロスを買いサイン、短期が長期をした抜けるデッドクロスを売りサインとして、判断する場合もあります。
RCIはあくまでサブ的な分析方法
RCIによるテクニカル分析で私が感じるのは、「RCIをメインのテクニカル分析として投資判断するのは難しい」ということです。
ですから基本的には、MACDやRSIなどのテクニカル分析を主軸として、その補足としてRCIを利用するのが良いと思います。
補足として使う分には、株価の順位で導かれるRCIというテクニカル指標は独自性があり、違う方向からの投資分析が出来るためにオススメの方法と言えるでしょう。
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