株式投資では株価が異常な変動を起こさないように、1日の株価の変動幅にいくつかの制限を設けています。
その制限の一つ「特別気配」について解説します。
特別気配とは?
株式市場で売買し約定する際に、直前に約定した株価を基準として、約定可能な範囲が定められています。この範囲のことを更新値幅といいます。
その更新値幅を超える場合は即時に売買を成立させず、特別に呼値の周知を図るよう気配値段(約定していない値段)が表示されます。
この気配値段のことを「特別気配」と言います。
一旦特別気配になった株は、買い注文と売り注文が釣り合うまで、特別気配を切り上げ(切り下げ)ていき、注文が釣り合った時点で約定します。
特別気配の具体例
例えば、現在の株価が1100円の場合に、成行で買い注文を出したとします。
その時に売り注文が1200円までなかったとすると、成行の買い注文は特別気配になり、1030円、1060円、1090円と30円の更新値幅で気配値段を更新し、最終的に1200円で約定します。
※ただし、1200円の売り注文よりも成行買い注文の方が株数が多ければ、株数が釣り合うまで特別気配によって、更新値幅で上昇していきます。
特別気配中に売り注文が入ったら
この時、特別気配中にその気配値以下で売り注文が入ったとしたら、買い注文と売り注文が釣り合った時点で、特別気配が解除され約定します。
例えば、上の例で1060円の特別気配の時に、1060円で300株の売り注文が入ったら、その時点で買い注文と売り注文が釣り合うので、特別気配が解除されて、1060円で約定します。
特別気配の更新値幅
特別気配時の更新値幅は、株価の価格帯によって変わってきます。上の例では1000円以上~1500円未満の価格帯だったので、30円ずつ上昇していました。
価格帯別の更新値幅は以下のようになります。
○○以上~△△未満 | 特別気配 |
---|---|
1円~100円 | 5円 |
100円~200円 | 5円 |
200円~500円 | 8円 |
500円~700円 | 10円 |
700円~1,000円 | 15円 |
1,000円~1,500円 | 30円 |
1,500円~2,000円 | 40円 |
2,000円~3,000円 | 50円 |
3,000円~5,000円 | 70円 |
5,000円~7,000円 | 100円 |
7,000円~10,000円 | 150円 |
10,000円~15,000円 | 300円 |
15,000円~20,000円 | 400円 |
20,000円~30,000円 | 500円 |
30,000円~50,000円 | 700円 |
50,000円~70,000円 | 1,000円 |
70,000円~100,000円 | 1,500円 |
100,000円~150,000円 | 3,000円 |
150,000円~200,000円 | 4,000円 |
200,000円~300,000円 | 5,000円 |
300,000円~500,000円 | 7,000円 |
500,000円~700,000円 | 10,000円 |
700,000円~1,000,000円 | 15,000円 |
1,000,000円~1,500,000円 | 30,000円 |
1,500,000円~2,000,000円 | 40,000円 |
2,000,000円~3,000,000円 | 50,000円 |
3,000,000円~5,000,000円 | 70,000円 |
更新値幅は3分ごとに更新される
また、特別気配の更新値幅は3分ごとに更新されていきます。
上の例では、1030円、1060円、1090円、1200円と更新値幅が変化していますが、その間隔は全て3分間です。
特別気配のままストップ高(安)した場合
もし、この特別気配のまま制限値幅いっぱいのストップ高やストップ安まで到達した場合はどうなるでしょうか?
株価の極端な急騰や暴落を防ぐため、1日の株価の変動幅を前日の終値を基準として上下一定範囲で制限しています。この範囲を値幅制限といいます。
この場合も、買い注文と売り注文が釣り合うまで、ストップ高(安)のまま特別気配の状態を維持します。このことをストップ高(安)張り付きと言います。
例えば前日の終値が1100円の株だと、その日のストップ高は1400円です。特別買い気配のまま、その1400円まで到達すれば、気配値は以下のようになります。
この状態では買い注文が30000株(うち成行注文20000株)で、売り注文が12000株(うち成行注文0株)という状態で、買い注文と売り注文の均衡が取れていないので、約定せずに1400円で特別気配張り付きになっています。
もし、この日の大引けまでに注文が釣り合わなければ、ストップ高比例配分となり、売り注文の株数を抽選などにより、買い注文を出している投資家に振り分けることになります。
また、この日の終値は1400円となり、翌営業日の基準値は1400でスタートすることになります。
特別気配になりやすい銘柄
では、どういう銘柄がこの特別気配になりやすい傾向があるでしょうか?特別気配になりやすいのは以下のような銘柄です。
材料が出た株
前日や当日に、企業からIR情報などが出て、業績や財務に大きく影響しそうな場合には、買いと売りのバランスが大きく崩れるために、特別気配になりやすい傾向があります。
出来高の少ない株
また、普段から出来高の少ない銘柄は、そもそも売買注文自体が”まばら”であるために、出ている指値注文を売買しようとするだけでも、特別気配になる場合もあります。
仕手株
仕手株と呼ばれる売買が活況で、値動きが荒い銘柄についても、頻繁に売買バランスが崩れて特別気配になることがあります。
保有株が特別気配になった時のポイント
もし、保有株が特別気配になった場合にはどうすればいいでしょうか?
基本的には、買いたい(売りたい)価格で指値注文をすれば良いと思います。成行注文で注文を出すと、特別気配の性質上はどこまで下落するかわかりません。
ただ、その日の値幅制限内で、どうしても買いたい(売りたい)場合には成行注文をオススメします。
理由は、ストップ高(安)比例配分になった時には、指値注文よりも成行注文を優先して約定させる証券会社が多いからです。
特別気配銘柄の探し方
証券会社によっても違いますが、私が利用している SBI証券 では、特別気配になっている銘柄をリアルタイムで探す機能があります。
取引ツールの「HYPER SBI」で「マーケット情報→ランキング→特別買気配(特別売気配)」をクリックすれば、その時点で特別気配になっている銘柄を知ることが可能です。
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