前回は、下落相場で勝ちにいってはいけないという話をしました。その中でも資産の守り方について言及していますが、今回は大損しないために個人投資家が注意すべきポイントについて丁寧に解説したいと思います。
下落相場で大損しないためのポイント
まず初めに、投資初心者の方に伝えたいのは上昇相場と下落相場は全くの別物です。下落相場で上昇相場と同じような投資をしていると、あっという間に資産を失います。同じ株式投資であっても性質が全く違う事を忘れないでください。
そんな下落相場で大損しないためのポイントを解説していきましょう。
一度に買う株の数量や金額を抑える
下落相場に転換したと判断した時は、株を買う数量や金額を抑えましょう。
例えば、通常の相場なら買い増し時に1000株ずつ買っていたなら、2分の1の500株やそれ以下でも十分です。
運よく反発したなら買い増し分の利益は減りますが、下落相場が続く場合には投資資金がすぐに枯渇してしまいます。
利益確定は細かく行う
下落相場では上昇相場のように放っておけば株価が上がるわけではありません。小さな上昇下落の波はありますが、基本的に株価は下落しています。
ですから、下落相場で買い増しなどを行い、利益が出ているような株があれば、あまり欲張らずに細かく利益確定をするのが良いでしょう。
その後、次の下落のタイミングで再び買い戻せば良いのです。
グロース株の成長性よりバリュー株の財務健全性
イケイケの上昇相場と違って、下落相場では投資家は慎重な投資を行う傾向があります。そのため、下落相場ではグロース株の成長期待よりも、バリュー株の財務健全性が注目されるようになります。
大きな成長性が見込めないかもしれませんが、財務的にリスクが少なければ、下値余地は限定される可能性が高いでしょう。
下落相場入りの見極め方
株式相場が下落相場入りしたかどうかを見極めるポイントは次の3つです。
- 経済指標の鈍化
- 日経平均株価チャートで株価が移動平均線を割り込む
- 景気先行きの不透明感
実際に、下落相場に突入したとしても、その判断が正しいとわかるのは数カ月から数年先になります。結果的にあれが下落相場のスタートだったと、後々メディアなどで報道されるようになるだけです。
著名な投資家であってもアナリストであっても、過去の経験則やデータと照らし合わせてそろそろ下落相場になるであろうという判断を下しているに過ぎません。
大切なのは下落相場かもしれないと考えること
下落相場入りするタイミングは、本当の意味で予測するのは難しいですが、そろそろ来てもおかしくないと考えることは出来ます。
その判断が間違っていたとしても、買い増しする金額が少ないことで多少利益が減るだけです。株価が戻るのであれば損失にはなりません。
しかし、下落相場での対応を間違えれば、致命的な損失に発展することもあります。
10回外したとしても1回正しいだけで、そういう致命的な損失は避けることが出来るでしょう。
勝つ投資よりも負けない投資
下落相場では、勝つよりも負けない事が大切です。「負けないと=損失を出さない」ではありません。
下落相場では損失が出るのは避けられません。しかし、その際に損失を最小限に抑え、あわよくば配当金や短期売買によって、損失を相殺できる投資ができるなら、どんな相場の波が来ても乗り越えていくことが出来るでしょう。