株式投資には多くの利益を求める個人や団体が関わっています。もし、そこにルールや規制が無ければ、お互いが自分の都合のために不正を行い、他者が不利益を被る行為が横行することになるでしょう。
本記事では金融取引のルールや規制を定める法律「金融商品取引法」について解説します。
金融商品取引法
一般の個人投資家が知るべき株式投資のルールは、金融商品取引法で定められています。
金融証券取引法は、金融・資本市場をとりまく環境の変化に対応、投資家保護ルールの徹底と利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保、金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目指して、2006年に従来の証券取引法を改正する形で成立・公布されました。※施行は2007年
金融商品取引法は以下の4つを柱とした法律です。
- 投資性の強い金融商品に対する投資者保護法制の構築
- 開示制度の拡充
- 取引所の自主規制機能の強化
- 不公正取引等への厳正な対応
個人投資家と金融商品取引法
金融商品取引法の中にある「投資家保護」と「不公正取引等への厳正な対応」に関する内容が個人投資家に大いに関係します。
簡単に言えば「金融商品を扱う業者は、その顧客である投資家 に不利益になるような事はしてはいけんません。また、投資家もズルをして利益を得るようなことをしてはいけません」ということですね。
投資家保護は、株式投資においては証券会社や上場企業、機関投資家などに対して定めるルールになりますが、「不公正取引等への厳正な対応」は一般の個人投資家にも該当するルールがあります。
万が一、金融商品取引法に抵触する「ズルい取引」をしてしまうと、罰則を受ける可能性があります。
不公正取引とは?
では、「ズルい取引」つまり不公正取引とはどういったものを指すのでしょうか?不公正取引とは主に以下のような行為です。
- 風説の流布・偽計
- 相場操縦的行為
- 内部者取引(インサイダー取引)
風説の流布・偽計
特定の株式の株価を上げる、または下げる目的で、合理的な根拠に基づかない噂や虚偽の情報をインターネットの掲示板などを利用して発信することを「風説の流布」と言います。
また、有価証券の売買や相場の変動を図る目的をもって、他人に誤解させるような詐欺的な策略や手段を用いる行為を「偽計」と言います。
金融商品取引法第158条でこれらの行為は禁止されています。
相場操縦行為
相場操縦的行為は、本来公正な価格形成が行われるべき相場を、作為的に歪める行為です。
相場操縦的行為やそれに準ずる取引は主に次のようなものです。
- 見せ玉
- 仮装売買
- 馴合売買
- 終値関与
- 買い上がり(売り崩し)
- 作為的相場形成
- 売買高関与
- 株価固定
- 高値安値形成
内部者取引(インサイダー取引)
上場会社の役職員等の会社関係者は、投資家の投資判断に影響を及ぼすべき情報について、容易に接近しうる特別な立場にあります。
このような未公表の情報を知りながら、その情報を基に有価証券を売買することは、インサイダー取引として禁止されています。
金融市場の公正な価格形成を歪める行為として法律に規定により、違反者には罰則が科せられるケースがあります。
それらの違反行為を監視する機関として証券取引監視委員会があります。
証券取引監視委員会
証券取引等監視委員会は、市場の公正性・透明性の確保及び投資者保護の観点から、市場を監視している機関です。
証券取引監視委員会による取引調査
同委員会では、内部者取引や相場操縦、風説の流布・偽計等の不公正取引について、金融商品取引法に基づく調査を行っています。
取引調査の結果、違反行為が認められた場合には、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告を行っています。
このように金融商品取引法を基に株式投資における不正行為に対するルールや規則が設けられ、証券取引委員会によって市場を監視することで、健全な株式市場を守ることが出来ます。