風説の流布とは?【株式投資の不正行為】

金融商品取引法では、「株価操縦的行為」や「風説の流布」など不公正取引に該当する行為に罰則を設けています。

本記事では、「風説の流布」について詳しく解説します。

風説の流布とは?

合理的な根拠に基づかない噂や虚偽の情報を、特定の株価を変動させる目的でインターネットの掲示板などを利用して発信することを「風説の流布」と言います。

金融商品取引法では、第158条で以下のように定められています。

(風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止)何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくはデリバティブ取引等のため、又は有価証券等(有価証券若しくはオプション又はデリバティブ取引に係る金融商品(有価証券を除く。)若しくは金融指標をいう。第百六十八条第一項、第百七十三条第一項及び第百九十七条第二項において同じ。)の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。(相場操縦行為等の禁止)

株価の変動を目的として、嘘の情報を発信してはいけないということですね。

「相場の変動を図る目的をもつて」とありますが、風説の流布は自らが取引を行うかどうかは関係ありません。相場を変動させるような風説の流布であれば、それ自体がアウトになると解釈できます。

風説の流布に該当しないために注意するポイント

誤って風説の流布に該当しないためには、第三者が見聞きできる場所での個別株や売買に関する発言には十分気をつける必要があります。

インターネットの掲示板やツイッターなどのSNSで情報を発信すれば、その情報は何万人、何十万人に届くかもしれません。

「保有株の株価を上げたい」「安く買うために株価を下げたい」などの理由から、虚偽の情報を発信すれば風説の流布として罰せられる可能性があります。

風説の流布と株価予想との違い

では、「風説の流布」と「株価予想」との違いは何でしょうか?

風説の流布に該当しない書き込み

根拠のあるデータをもとに株価の予想を書き込むことや希望的予測を書くことで、風説の流布には該当することは少ないでしょう。

例えば、「PER(株価収益率)から判断すれば、株価は上昇しそう」や「○○の売上が伸びているから決算発表は期待できる」などは「根拠のある情報から株価を予想している」と捉えることが出来ます。

風説の流布に該当する書き込み

では、次の場合はどうでしょうか?「○○と△△が合併するらしいから、○○の株価は上昇するだろう」

この場合、「合併する」という情報がポイントです。合併の話が事実無根であれば、例え第三者から聞いた情報であったとしても、風説の流布に該当する可能性があります。

また、真実だったとしても公表されていない情報を書き込む行為は、十分にリスクのある行為だということを忘れてはいけません。

風説の流布で捕まる事例も

私が調べた限りでは、実際に株の発注によって株価操縦をするケース(見せ玉や馴れ合い売買など)に比べると、風説の流布のみで捕まる事例は多くはないようです。

しかし、過去に風説の流布と株価操縦的行為などを併せて、悪質性が高いと判断されて捕まる事例はいくつかありました。

風説の流布のみで捕まる事例が少なかったとしても、SNSの影響力が拡大し、個人の発言力が強くなりつつある昨今では、ほんの軽はずみな発言が大きな事件や問題に発展するケースも少なくありません。

株に関する発言も同様に、個人で軽はずみな言動だったとしても、風説の流布として罰せられる可能性は十分にあります。

そうならないためにも、株式投資に関する情報の発信には十分に気をつけることが大切です。

風説の流布を行わないためのポイント

自らの発言が掲示板やSNSでの発信で、風説の流布を問われる事がないようにするには、どういう事に注意すればいいでしょうか。私自身がツイッターやブログに書きこむ時には以下の事に気をつけています。

  • 不確実な内容を書き込む時にでも根拠を加える
  • 株価の予測は断定的な言い方をしない
  • 特定の銘柄の買いや売りを煽るような発言をしない

私自身はツイッターやこのブログで投資成績や保有株などを掲載しているので個別銘柄について自分の考えを述べることもあります。

個別株の発言をする時には、それが風説の流布にならないかを常に意識しています。

感情を整理してから発信しよう

保有株が急落した時は、損失を拡大したくないという焦りから、つい過剰な書き込みをしたくなる気持ちもわかります。しかし、虚偽の情報を発信することで、お金以外のものを失うこともあります。

そうならないためにも、情報を発信する時には感情を落ち着かせてから発信するように心がけましょう。