相場の先行きを判断する指標の一つに「空売り比率」があります。
空売り比率の値は、「売り注文の合計金額に占める空売りの合計金額の割合」を数値化した指標で、この数字が大きいほど、空売りしている投資家が多い事がわかります。
今回はその「空売り比率」と相場の動向について解説します。
空売り比率の基本的知識
空売り比率は、騰落レシオと同様に相場の過熱感から、「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断する事ができるテクニカル指標です。
空売り比率は、以下のように計算されます。
つまり、「売り注文の約定金額のうち、何%が空売りによるものか」というのを示しています。
この空売り比率が高いほど、売り注文全体の空売りが占める割合が多いという事になります。
空売り比率が高くなるということは、以下の事が予想されます。
空売り比率の調べ方
空売り比率は、日本証券所グループのサイトから調べることが出来ます。
外部リンク:空売り集計 | 日本取引所グループ
このページの中にあるPDFファイルを開くと、その指定した日の空売り比率を知ることが出来ます。
こちらは、日本証券取引所グループで確認できる空売り比率の表ですが、売り注文を以下のように分類しています。
- 実注文・・現物株の売りや信用取引の返済注文
- 空売り(価格規制あり)・・価格規制の伴った空売り注文
- 空売り(価格規制なし)・・価格規制の伴わない空売り注文
このうち、下の二つの空売りの割合を足したものが、空売り比率になります。
価格規制とは、空売りに設けられたルールのことで、基本的には「規制あり=機関投資家」「規制なし=個人投資家」くらいのイメージで良いと思います。
この日の場合には、
- 空売り(価格規制あり):37.5%
- 空売り(価格規制なし):9.6%
なので、「37.5+9.6=47.1」となり空売り比率は47.1%となります。
なお、価格規制(トリガー抵触銘柄)については以下の記事で詳しく解説しています。
空売り比率による過熱感の判断
空売り比率による過熱感の判断としては、
というのが、一般的な考え方になります。
この理由は、空売りには将来的に買い戻しが必要になるために、空売りが多いほど株の買い戻し期待から株の先高感が強くなるからです。
逆に空売り比率が低いということは、将来的な買い戻しの期待が少ないことから、先に空売りによる売り圧力がかかり、株価が下落する先安感が強くなります。
空売り比率の過熱感を表す具体的な数値
では、高過ぎと低過ぎの判断基準は具体的にはどの辺りになるのでしょうか?
しかし、2019年6月現在では40%を超える日も当たり前なのが現状です。過去から考えれば、異常なくらい高くなった理由はなんでしょうか?
空売り比率の水準が大きく上昇した理由
その理由は2013年以降に行われた信用取引ルールの大きな2つの改変だと言われています。
- 同一資金で1日に何度でも売買が出来るようになった
- 空売り規制が緩和され、より安値で空売りが出来るようになった
詳しい解説は省きますが、要は「空売りがしやすくなった」ということです。
その結果、信用取引による売買が増加し、結果的に全売買に占める空売りの割合も大きくなっていると考えられます。
空売り比率の推移を参考にする
そのような理由から、現在では空売り比率の推移を参考に過熱感を測るのが効果的だと思います。
また、騰落レシオも同じく過熱感を表す指標なので、騰落レシオと照らし合わせるのも効果的でしょう。
相場の動向、騰落レシオ、空売り比率の3つから、相場が過熱しているかどうかを判断することで、より精度の高い相場分析が可能になると思います。
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