信用取引の空売り残は、株価の変動に大きな影響を与える要因です。本記事では、空売りに関する指標の一つである「空売り残高比率」について解説します。
空売り残高比率とは
空売り残高比率は、ある銘柄の一日の出来高に対する、その銘柄の空売り残高(株数)の割合を求める指標です。
計算式では
で計算することが出来ます。
例えば、一日の出来高が10万株で空売り残高が5万株だとすれば、「5万株(空売り残高)÷10万株(一日の出来高)×100=50%」で空売り残高比率は50%になります。
空売り残高比率からわかること
この空売り残高比率は、その銘柄の将来的な買いエネルギーを測ることができます。
次の二つの銘柄を比べてみましょう。
- A株 出来高10万株 空売り残高5万株 空売り残高比率50%
- B株 出来高10万株 空売り残高20万株 空売り残高比率200%
一日の出来高は同じですが、空売り残高比率はB株がA株の4倍になっています。まず、最初にわかることはA株よりもB株の方が将来的に下落すると投資家が予測していることです。
しかし、空売り残高が多いからと言って、株価が将来的に必ず下落するわけではありません。現時点の株価は、将来的に下落すると考える投資家の売り圧力を吸収した状態になっているからです。
空売りした株は現物買いした株と違って、将来的に必ず買い戻す必要があります。そのため、空売り残高は将来的な買いエネルギーであると言えます。
そして、一日の出来高に対する空売り残高の割合が高いほど、空売りの買戻しの影響は大きくなります。つまり、空売り残高比率が高いほど、株価の上昇エネルギーになると考えることができます。
空売り残高比率と空売り比率の違い
空売り残高比率と似た指標で「空売り比率」があります。
空売り比率は「売り注文の合計金額に占める空売りの合計金額の割合」を数値化した指標です。
どちらも将来的な買戻しのによる上昇エネルギーを予測できる指標ではありますが、空売り比率は市場として、どれだけ空売り圧力がかかっているかを知ることが出来ます。
特定の銘柄の中長期的な空売りの買戻しのエネルギーを知りたいのであれば、空売り比率ではなく空売り残高比率の方を参考にしましょう。