固定資産と固定負債の勘定科目|貸借対照表の読み方

 次に固定資産と固定負債についてみていきましょう。「固定」は「流動」以外の資産(負債)を表しますので「一年以内に現金化しない資産(負債)」ということですね。特に固定資産ではいくつかのポイントがありますので、順番に解説していきましょう。

 固定資産は大きく分類すると、有形固定資産と無形固定資産、投資その他資産に分かれます。ポイントとなるのは「有形」と「無形」の違いです。

有形固定資産と無形固定資産の違いは?

 これは言葉にすると、「資産として形を成すものなのかどうか」という違いになります。具体的な例を挙げるとすると下のようになります。

  • 有形固定資産・・・建物、構築物、土地、設備、機械装置、車両運搬具、工具など
  • 無形固定資産・・・借地権、商標権、ソフトウェア、のれんなど

有形固定資産を読むポイント

 建物や土地、設備など1年以内には売買の対象になりにくいものだらけですね。このような有形固定資産では、土地とその他のもので資産の在り方が大きく異なります。というのは土地は保有期間が長くなろうとも価値は変動しても必ずしも劣化するわけではありません。しかし、その他の建物や設備などは保有する期間が長くなるほど経年劣化や新しいものの出現で年々価値が下がっていきます。また売却に関しても、貸借対照表の計算上の値段通りの価値で売れるとは限らないため、資産としての価値がどこまであるのかというのは判断しにくい点もポイントです。

無形固定資産を読むポイント

 有形固定資産に対して、無形固定資産では「権利」や「のれん」「ソフトウェア」など一見すると価値がわかりにくいものが並びます。これも固定資産と同じく、売却するとなると本当に価値のあるものなのかは不透明な場合もありますので、内容によってはあまりに数字が大きくなるものは注意が必要です。特に「のれん」は企業を買収した時などに発生する付加価値としてものですので、のれんの計上が大きい場合はその内容を細かく精査する必要がありそうです。

投資その他資産

 固定資産の三つめとして「投資その他資産」とうい項目があります。これは、有形固定資産でも無形固定資産でもない項目を示します。投資有価証券や長期貸付金、繰延税金資産、貸倒引当金などがあります。アベノミクス以降、企業による設備投資だけでなく、有価証券による投資も増加している事から、この投資有価証券の項目は景気に左右されやすいので要注意です。

固定負債のポイント

 1年を超えて発生する借金である長期借入金や社債、退職給付に関する費用や繰延税金負債など会社が必要だと考える長期的に発生する費用に関して計上されています。通常であれば特に難しい項目はありませんが、前年と比べて極端に数字が大きくなっているような項目があれば、なぜそうなっているかを調べた方が良いでしょう。決算書の概要の部分を読めば書いている場合が多いと思います。

 次は純資産の部について見てみましょう。

純資産の勘定科目|貸借対照表の読み方
株式投資で決算書(決算報告書)を読むのに必要な貸借対照表の純資産の部について詳しく解説しています。

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