指値注文と成行注文の使い分け【株式投資の基本的な注文方法】

株の売買で用いる代表的な注文方法は、「指値注文」と「成行注文」です。本記事では指値注文と成行注文の基本知識と効果的な活用方法について解説します。

指値注文とは?

「指値(さしね)注文」は、株を売買する際に注文株価を指定して行う注文方法です。

例えば、次の気配値では1000円で指値注文をすれば、1000円で300株まで買うことが出来ます。

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もし500株の指値注文を出した場合には、300株だけ約定して200株が買い注文として気配値に表示されることになります。

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指値注文のメリット

指値注文のメリットは、確実に自分が希望する価格で株を売買できる事です。そのため、株式投資では原則、指値注文を利用することを推奨します。

また、指値買い注文よりも、安い株価で売り注文が出ていれば、指値した株価よりも安く約定することも指値注文のメリットです。(売り指値注文の場合は高く売れる)

例えば、以下の気配値で1000円で500株の買い指値注文を出せば、998円で200株と1000円で300株の約定となります。

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指値注文の注意点

ただし、指値注文は、指値した株価で反対注文が出るまで売買が成立しません。

次の気配値のように1000円以下の売り注文が無ければ、1000円で指値買い注文を出しても、約定せずに株を買うことはできません。

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この場合には、買い指値注文が1000円の位置に表示され、1000円以下の売り指値注文または成行注文が出るまで、約定を待つことになります。

成行注文とは?

「成行(なりゆき)注文」は、価格を指定せずに株を売買する注文方法です。成行の買い注文を出した時点で、一番安い売り指値注文から順番に約定することになります。

例えば、次の気配値で成行で買い注文を出した場合、その時点で一番安い売り指値注文である1020円から約定することになります。

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この場合に500株の成行き買い注文を出したら、1020円の300株と1025円の200株が約定することになります。

成行注文のメリット

成行注文のメリットは、「ほぼ」確実に株を約定させることが出来ることです。どうしても株を買いたい(売りたい)場合には、指値注文よりも成行注文の方が確実です。

「ほぼ」確実というのは、成行注文を出しても、株価の現在値付近に反対注文がなければ、特別気配になり約定するまで株価が上昇または下落することになるからです。もし相対する注文が無ければ、約定することはありません。

【特別気配とは】

直近の約定値段から一定の範囲内であれば、即時に売買が成立しますが、その一定の値幅を超える注文が出た場合などは即時に売買を成立させず、株価に応じて一定の間隔で株価の呼び値が変動します。これを特別気配と言います。

成行注文の注意点

成行注文は、現在値の付近に反対注文がなければ約定するまで、特別気配で株価が上昇または下落を続けます。

そのため、成行注文は予想外に高い株価、または安い株価で約定することもあり得るので注意が必要です。

相場操縦に注意

また出来高に比べて大きい株数の成行注文を出した場合、相場操縦的行為とみなされる可能性があります。

成行注文を出す場合には、株価に大きな影響を与えないように注意する必要があります。

※指値注文でも大量の注文を出せば、「見せ板」として相場操縦行為と捉えられることがあります

指値注文と成行注文の使い分け方法

株式投資において指値注文と成行注文はどう分ければ効果的でしょうか。

株式投資は基本的には指値注文

株式投資では、注文は基本的に「指値注文」で行いましょう。予定外の株価で約定する可能性がある成行注文はリスクが大きいからです。

特に日々の出来高の少ない中小型株では、注文自体が飛び飛びになっていることも多く、成行注文は好ましくありません。

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上の図のような気配値で1000株の成行買い注文を出した場合には、最大で1079円で約定する可能性があります。そこまで買い急がなくても1020円で1000株の指値注文をしておけば、そのうち売り注文が出て約定するかもしれません。

指値注文でも指値する株価次第で成行注文と同様になる

指値注文でも、現在値より極端に乖離した価格で注文した場合には、成行注文をするのとほぼ違いがありません。

例えば、現在値が1000円なのに1200円で指値買い注文を出したら、1200円までは成行注文と同じ動きになります。

どうしても約定させたい時には成行注文

成行注文は、どうしても約定させたい場合に限れば有効な注文方法です。

成行注文を利用する代表的な状況としては、「ストップ高比例配分」や「ストップ安比例配分」の株を買いたい(売りたい)場合です。

ストップ高(安)比例配分とは

1日の株価の変動の上限や下限でも売買注文数が合わずに売買が行われない場合に、ザラ場では約定せず大引け後に注文数に応じて約定を配分することをストップ高(安)比例配分と言います。

ストップ高(安)比例配分では、指値注文よりも成行注文の方が優先されるために、成行注文で発注した方が約定する可能性が高くなります。

投資初心者は指値注文で投資に慣れよう

代表的な2つの注文方法を解説しましたが、私は株式投資では99%が指値注文です。成行注文を使う機会は滅多にありません。

もし仮に、確実に買いたい株があったとしても、成行注文ではなく指値注文で約定させたい金額で注文します。

成行注文が悪いというわけではありませんが、万が一、想定外の価格で約定する事を考えると、特別なケースを除いては成行注文を使う必要はないでしょう。