投資資金を担保に投資資金の約3倍の売買が出来る上に、売りからも売買が可能な信用取引ですが、一言に「信用取引」といっても大きく分けると2種類の信用取引の制度があります。
信用取引をする人は知っておいた方が良い知識だと思いますので、今回は、「制度信用取引」と「一般信用取引」の違いについて解説します。
制度信用取引の特徴は?
制度信用取引は、簡単に言えば「証券取引所が指定する銘柄を対象とした信用取引」です。
制度信用取引できる銘柄はさらに、「買い建て」と「売り建て」両方ができる「貸借銘柄(たいしゃくめいがら)」と、買建のみできる「信用銘柄」に分類されます。
株式投資の用語で「貸借倍率」という言葉がありますが、これは貸借銘柄の買い建てと売り建ての割合を示した数値です。
制度信用取引では建玉を6カ月以内に反対売買しなければいけません。つまり制度信用取引で買った銘柄は半年以内に売却を、空売りした銘柄は半年以内に買い戻しをする必要があります。
また、制度信用取引では売り建て玉(空売り)が買い建て玉よりも多い場合には、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生することがあり、これは「足りない株を調達する手数料」として空売りした人の負担になります。
さらに、信用取引では投資資金を担保として建玉を保有することになりますが、それにも金利が発生します。
年間でおよそ3%程度ですが、この金利は一般信用取引に比べるとやや安くなる場合が多いです。
制度信用取引の特徴
- 証券取引所が採用銘柄を定める
- 6カ月以内に返済が必要
- 逆日歩が発生する可能性がある
- 金利は比較的安め
一般信用取引の特徴は?
一般信用取引は証券取引所ではなく、証券会社が独自に採用銘柄やルールを設定した信用取引です。
そのため、売買できる銘柄は信用取引口座を開設している証券会社ごとに違います。
また、一般信用取引は無期限信用取引とも呼ばれ、原則として返済期限はありません。
逆日歩も制度信用取引のルールであるため、一般信用取引では逆日歩はありません。ただし、一般信用取引では空売りするための株の調達も証券会社で行うために、信用売りできる銘柄数は制度信用取引で扱われている銘柄よりも少なくなります。
一般信用取引の特徴
- 証券会社が採用銘柄やルールを決める
- 返済期限がない
- 逆日歩がない
- 空売り銘柄数が少ない
制度信用取引と一般信用取引を比較
それぞれの信用取引の特徴を比較すると下の表のようになります。
特徴 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
---|---|---|
採用銘柄の決定 | 証券取引所 | 証券会社 |
返済期限 | 6カ月 | 原則無期限(※証券会社による) |
空売り可能銘柄数 | 多い | 少ない(※証券会社による) |
逆日歩 | あり | なし |
金利 | やや低い | やや高い(証券会社による) |
【まとめ】投資期間によって制度信用取引と一般信用取引を使い分けよう
それぞれの特徴を簡単にまとめましたが、どちらを利用する方が得になるかは投資スタイルによって変わってきます。
短期投資で6カ月以内に返済するような人であれば、買い建てなら金利の安い制度信用取引の方がメリットが大きいでしょう。
売り建ての場合は、そもそも一般信用取引では扱う銘柄が少ないために、逆日歩が発生する可能性があるとしても制度信用取引を利用することになるかもしれません。
中長期投資で6カ月を超えるような期間で売買するのであれば少し金利は高くなりますが、一般信用取引で売買することになるでしょう。
ただ、どちらにしても年間で3%程度の金利がかかるので配当金狙いの投資は非効率ですから、株価の変動幅であるキャピタルゲインを目的とした投資になることは間違いないでしょう。
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