上昇志向の株式投資と安定志向のFX取引

私は、株式投資とFX取引の両方をしていますが、口座を開設して取引するまでは、両者にそれほど大きな違いのあるものとは考えていませんでした。しかし、今は株式投資を主体に資産運用し、FX取引は遊び程度で売買するくらいです。

株式投資では安定して利益を出せるようになりましたが、FX取引で安定して利益を出せるようになるには、また別のスキルが必要だとわかったからです。

本記事では、株とFXの資産運用を経験して感じた、性質や考え方の違いについて解説します。

株式投資は1つの価値、FX取引は2つの価値から判断

株式投資は企業の業績や財務状況から売買判断するのに対し、FX取引は2つの通貨を比較して売買判断します。この違いが、株式投資とFX取引で求められる能力の違いに直結します。

株式投資の売買判断

株式投資は、成長性や財務内容、業種などから、今の株価が割安だと判断すれば買われ、割高だと判断されれば売られます。投資家がその株を発行する企業の価値を見定め、その均衡のとれる位置で株価が決まります。

同業他社と比較はされますが、根底にあるのは対象企業自身の価値を投資家が見定めるという点では、株式投資は非常にシンプルです。

FX取引の売買判断

対して、FX取引は1つの通貨の価値ではなく、2つの通貨の価値を比較して売買を判断します。

例えば、米ドル円は2022年11月現在、1ドルは148円になっています。これは、この米ドル円を取引する投資家が1ドルと148円は等価値であると判断していることがわかります。

もし、米ドルの価値が高いと判断する投資家が多ければ、ドルが買われ円安が進みます。逆の場合も同様です。

FX取引は、天秤に2つの通貨を乗せて価値を測るイメージです。

株式投資は上昇、FX取引は安定

一般的には、株式投資は株価の上昇、FX取引は為替の安定することが望ましいと多くの人が考えていることは、それぞれで資産運用する上でとても重要な考え方です。

株式投資

株式投資の場合、上昇と下落は全く同じ性質の変動ではありません。一概に言えば、株価は上昇するのが好ましく、下落するのは好ましくないと判断されます。

株主にしても、経営者にしても、従業員にしても、特殊なケースを除けば株価が上昇することはメリットであり、株価が下落することはデメリットです。会社の価値が高くなることに不利益はありません。

FX取引での為替の変動要因

しかし、FX取引では通貨高、通貨安が一概に好ましい、好ましくないとは言えません。

先ほどと同じように、米ドル円を例にしてみても、円高に進めば恩恵を受ける企業や個人もあり、円安に進めば恩恵を受ける企業や個人もいます。

つまり、為替は一方向への強い変動ではなく、天秤のようにバランスの取れる位置を見定めることが大切です。

私が株式投資の方が安定して利益を出せる理由

このような、株式投資とFX取引の性質や考え方の違いから、私自身は株式投資の方が安定して利益を出せるようになりました。

基本的に多くの人が株価の上昇を期待しているのであれば、過度な期待が株価に織り込まれていない株を買えば良いだけだからです。

対して、FX取引は通貨の繊細な強弱のバランスによって変動するため、長期的な変動予測が難しいと感じます。

こういった結論になるのは、私の株式投資の手法が、中長期のファンダメンタルズ分析主体だからというのもあります。中長期投資の場合には、財務的に割安な黒字企業の株を保有していれば、いずれ株価が上昇して利益に繋がりやすいからです。

テクニカル分析を主体に投資している個人投資家の方には、株とFXの特徴の違いは大きくないかもしれませんが、私のようなファンダメンタルズ分析主体で投資する個人投資家の方には、この性質や考え方は重要だと思います。