インカムゲインとキャピタルゲイン

株式投資の収益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の二種類に分けられます。投資用語として頻出するので基本的な内容を抑えましょう。

インカムゲインとは

インカムゲインとは「配当金」や「株主優待」のことです。株式を保有を継続していることで得られる利益です。

配当金とは

「配当金」は株主に対して利益や剰余金の一部を還元するもので、日本株の上場企業の場合では通常、年間で1~2回実施されます。

配当利回りは株価や各社の業績、財務、配当方針などによって様々ですが、東証1部の配当利回りの平均は年間で約2%程度です。(詳しくは日本経済新聞社のこちらのページをご参照ください)

配当が充実している企業の特徴

配当は上場企業の全てが実施しているわけではありません。一概に、配当が充実している企業には次のような特徴があります。

  • 東証1部や2部など創業が古い
  • 利益剰余金が多く負債が少ない
  • 黒字経営を継続している

配当の実施には、財務的にも収益的にも株主に還元する余裕が必要です。

配当が充実していない企業の特徴

逆に、配当が充実していない企業には次のような特徴があります。

  • 成長過程の新興企業
  • 利益剰余金が少ない
  • 利益の還元より先行投資を重視
  • 慢性的に赤字経営

配当を実施していない企業は、大きく二つの傾向があります。

1つは創業間もない新興企業です。新興企業では成長段階にあり内部留保(利益剰余金)も少なく、株主還元より先行投資を重視する傾向にあります。

もう1つは慢性的な赤字経営企業です。株主に還元する余裕も成長期待もない以上、継続的な配当実施は難しくなります。

株主優待とは

株主優待とは、クオカードやお米券などの商品券や自社商品・サービスなどを株主に対して提供する仕組みです。

特に自社製品やサービスを株主優待として実施している企業は、株主を企業の顧客として取り込む狙いもあるでしょう。

また株主からしても、好きなキャラクターの非売品を受け取ったり、日常的に利用するサービスや飲食店の割引を受けられたりとメリットが大きい仕組みです。

ただ、BtoB企業など企業間のサービスを提供するような会社では、個人投資家に向けて自社製品をアピールするのは難しいため、クオカードやお米券などを実施している場合もあります。

配当や株主優待のインカムゲインを目的とした投資を行う場合には、相場の変動より企業のサービスや株主還元に対する方針を重視することになるでしょう。

キャピタルゲインとは

キャピタルゲインは、株式を買った金額と売った金額の差、つまり売買益です。

100万円で購入した株を120万円で売却したとすれば20万円のキャピタルゲインになります。デイトレーダーは、キャピタルゲインに特化した投資(投機)です。

キャピタルゲインで収益を上げ続けるのは難しい

キャピタルゲインは株価の変動による利益ですが、株価の変動は簡単に予測できるものではありません。

将来性のある企業の株は、現在価値よりも割高な株価で取引され、将来性のない企業は現在価値よりも割安な株価で取引されています。

つまり、現時点の株価は既に将来を見越して形成されているのです。そういう意味でキャピタルゲインだけを目的とした投資は難しいと言えると思います。

短期的に株価に影響を与える要因

短期的に株価に影響を与えるのは相場です。相場とは株式市場全体の動向です。それを数値化したものが、日経平均株価やTOPIX、マザーズ指数といった指数です。それぞれ、算出に用いるデータや計算手法は違いますが、多くの上場企業の動きを表したものであることに違いはありません。

そして、これらの動きは上場する銘柄に影響を与え、特に独自ニュースが無くても株価を大きく変動させる要因になります。

また、当然ながら企業の業績や動向は最も重要な株価変動の要因になります。中でも以下の内容は特に大きな影響を与えます。

  • 四半期決算発表
  • 業績修正
  • 自社株買い
  • TOB(株式公開買付)やMBO(マネジメント・バイアウト)
  • 製品やサービスのリリース
  • 不正会計などの企業の不祥事

こういう要因を踏まえて、株価変動を予測するには、経験や知識が必要になることはわかると思います。

収益バランスを考える

投資をする時に、インカムゲインとキャピタルゲインのバランスを意識するのも投資では重要です。

例えば、老後の生活資金を少しでも増やしたいと考えている若い方であれば、あまり変動を気にしなくて済むインカムゲインを重視しながら、業績の安定した企業の株を毎月の給料から少しずつ積み立てていけば、立派な資産になるでしょう。

逆に数年で大きな資産を築きたいと思うのであれば、インカムゲインでは限度があるので、キャピタルゲインを重視した将来性のある変動の激しい銘柄に投資することになるでしょう。

目的によってインカムゲインとキャピタルゲインのバランスを考える