株式投資をしていると、相場は好調に上昇しているのに自分の保有株は全然上がらないという事があると思います。
本記事では、相場が好調でも保有株が上がらない理由について解説します。
相場が好調とはどういう状態?
まず初めに、相場が好調とはどういう状態を指すでしょうか?
相場とは日本株全体の動きの事を指します。相場が好調という状態は、概ね日本株が上昇しているという事ですね。
そして、その相場が好調かどうかを確認するためには、指数というものがあります。
日本株の状況を示す指数と言えば以下のものが代表的です。
- 日経平均株価
- TOPIX
- 東証グロース市場指数
これらは日本株を取引する投資家であれば誰もが注目する相場を表す数字です。
つまり、これらの指数が上昇している時には、相場は好調であると言えるでしょう。特に日経平均株価は日本株の動きを捉える最も代表的な指数で、世界中の投資家が注目する数字です。
指数が上昇していれば保有株も上昇する?
では、指数が上昇していれば私たち個人投資家が保有している株も上昇すると言えるでしょうか?
この記事のタイトルにあるように、指数が上昇しているからと言って保有株が上昇するという事はありません。
例えば、日経平均株価が3%上昇していても、保有株は1%も上昇しないなんてことは普通にあります。
投資初心者にとっては、何で自分の株だけ上昇しないの?と思うかもしれませんが、これは運が悪いというわけでなく、指数の特性上当たり前の事なんです。
指数が上昇しても保有株が上昇しない理由
指数が上昇しても保有株が上昇しない理由の最も大きな理由は、日本株にとって最も重要な指数である日経平均株価が不公平な指数だからです。
不公平な指数とはどういう事でしょうか?
日経平均株価は225社の株価だけを反映している
日経平均株価は、東証プライム市場に上場する会社の内、225社だけの株価を採用した指数です。対象となる銘柄は、日本経済新聞社によって選考され定期的に銘柄の入れ替えもあります。
東証プライム、東証スタンダード、東証グロース市場には3000社以上の企業が上場しています。
そのうちの225社から算出するという事ですから、日本を代表する企業とは言え相場の端から端までを見渡している指数とは言えないですね。
銘柄寄与度に違いがある
さらに、日経平均株価はその算出方法によって、採用されている225銘柄が平等に影響しているわけではありません。
日経平均株価を語る時に「銘柄寄与度」という言葉をよく見かけますが、日経平均株価に影響を与える大きさを表す言葉です。
例えば、A社の株が5%上昇した時には日経平均株価は50円上昇するのに、B社の株が5%上昇した時は10円も上昇しないというように、銘柄によって日経平均株価に寄与する度合いが違うのです。
極端な話、一銘柄が大きく上昇下落するだけで日経平均株価が1%近く変動することもあります。
相場=指数=日経平均株価という概念が大きい
日経平均株価と違いTOPIXは東証プライムと一部の東証スタンダード市場に上場する銘柄の株価を反映した指数です。※時価総額100億円未満の会社を除く
ですから、本当の意味で相場全体を表す指数はTOPIXと言えるでしょう。しかし、一般的に考えて日経平均株価とTOPIXではどちらを意識するでしょうか?
我々個人投資家の中でも相場と言えば日経平均株価という概念があることから、相場の動向を考える時は、日経平均株価の動向を強く意識してしまいます。
ですから、相場と保有株を比べる時も同様に日経平均株価を意識してしまう事で、相場と保有株にズレがあると感じてしまうのです。
新興市場と東証プライム市場の動きは全く違う
また、新興市場は、成長性の高い企業が多く、個人投資家に人気のある市場です。
東証グロース市場指数と日経平均株価は同じ日本市場の指数といっても、その動向は大きく違います。
もしグロース市場に上場している銘柄を保有しているにも関わらず、日経平均株価を意識しているとなれば、その動きは全く関係ないと言っても良いでしょう。意識すべきは東証グロース市場指数であるべきです。
日経平均株価が上昇して相場が好調にも関わらず、新興市場の株が冴えないのは良くあることです。
むしろ日本を代表する銘柄群が上昇しているのであれば、資金はそちらに流れ、中小型株や新興企業は置いてけぼりという展開は、株式投資では当たり前です。
全体相場を見て焦る必要はない
個人投資家の好む銘柄は、成長性が高い中小型株に偏りやすいと言えます。特に若い人や大きく稼ぎたいと思う人ほど、成長性の高い銘柄を好む傾向があります。
そのため、保有株の動向が指数に連動せずに、焦りが生じて間違った売買をしてしまうことも珍しくありません。
相場はあくまで相場であり、それに連動しないからと言って悲観的になる必要はありません。
中小型株ほど相場よりも業績(決算発表)に影響を受けやすいため、日々の値動きが相場と違うからと言って一喜一憂するのは無駄に疲れるだけです。
確かに相場と保有株の動きを比較するのは、自分の投資が上手くいっているかを知る上では重要ですが、それは1年程度の長期的なスパンで考えた方が良いでしょう。
相場はあくまで全体の雰囲気だと考え、保有株の業績や経営戦略をしっかりと分析し、投資の本質的な部分を大切にしていく事が重要だと思います。