【株式投資】急落相場のリスク管理方法

急落相場のリスク管理方法①

急落相場における最優先のリスク管理は、「致命的な損失を避ける」ことです。そこで「致命的な損失」とはどういう事かというのを考えてみましょう。

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致命的な損失とは?

株式投資をする人によって、投資スタイル、技術、目的、目標は様々ですから、一概にこれが「致命的な損失」という明確な基準はありません。

ですから、「二度と投資が出来ない(したくない)と思う損失」を具体的な数字で想像してください。

私の場合は、以下のような生活環境と投資スタイルでの致命的な損失を考えています。

私の生活環境と投資スタイル

  1. 株式投資の収益が収入の大部分である
  2. 生活費を除いても毎年数十%資産を増やすことを目標としている
  3. 長期投資で十数銘柄を保有しながら、デイトレードもしている
  4. 投資資産は1200万円程度

このような状況ですから、相場の急落時には全く損失を被らないというわけにはいきません。

急落時にはそれなりに保有株は影響を受けるでしょうし、不安定な相場が続くようであれば数か月くらいは利益が出にくい状況が続くかもしれません。

そんな状況の中で、私にとっては「資産の40%以上を失ってしまうような投資」「致命的な損失」であると考えています。

1200万円の投資資金があるとすれば、約500万円を失うような事があれば現状の投資スタイルを維持しながら、資産を元に戻すには非常に時間がかかります。

500万円の損失が私にとっての致命的な損失

自分にとっての致命的な損失を具体的に考える

上の例は私の投資環境についての例です。目的や環境、投資スタイルから自分にとっての「致命的な損失」を見出してみてください。

致命的な損失は急落相場で起こる

こういった致命的な損失というのは、そのほとんどが急落相場で起こります。

相場が安定している状況では、個別銘柄で大きく株価が急落したとしても、下方修正など株価が下落する要因が明確であるために、損失が出たとしても対応することは、それほど難しくありません。

しかし、急落相場が起こる時には、原因が不明瞭な場合も多く、個別企業の業績が悪化したというわけではありません。

そのため、株を保有している場合には、それを売るべきかどうかというのは、想像以上に難しく対応を誤ると損失が拡大し、「致命的な損失」へと発展してしまいます。

致命的な損失を避ける心得

「致命的な損失を避ける」ことが出来れば、急落相場の影響で一時的には損失が出ていても、次の上昇相場へ繋げることが出来ます。

では、この「致命的な損失を避ける」にはどういう意識が必要になるのでしょうか。

急落相場での心得

  • 「相場の常識が変わった」ことを意識する
  • 急落相場では自分で底を判断しない
  • 一時的に株価が戻っても第二波、第三波の急落を警戒する
  • 株は上昇時よりも下落時の方が動きは早い

急落相場に入った時には少なくともこれだけの意識をすることが必要になります。

波のように変動する相場の変動では、急落相場は上昇相場一服のあとに来ることが多く、一気に相場に対する意識を切り替えるのは難しいかもしれません。

しかし、多くの個人投資家が株式投資を辞めるキッカケは、急落時の致命的な損失が原因です。この意識の切り替えを怠った結果、保有株の下落や下落途中での買い増しによって、損失が致命的なものに拡大してしまうという悲劇が起こります。

特に投資を始めて間もない個人投資家の方には、長期的に相場が安定して上昇した後に起こる急落相場で、こういった損失を被ることが多々あります。

「相場の常識が変わった」ことを意識する

株式投資をしていると「大体このへんで下げ止まるだろう」とか「○○日移動平均線の水準に近づいてるから、そろそろ反発するだろう」といったように経験や知識によって、株価の推移を予想するようになります。

そして相場が安定しているほど、そういった予想は精度が高くなる傾向にあります。

そのため、安定相場が長期間続くほどに、相場の先行きを予想する事に投資家は自信を持つようになります。

しかし、一旦急落相場が始まるとそういった今までの常識は一変します。相場の急落時に、これまでなら反発していたような水準で買い増しをしたものの、下げ止まらなくなって多くの含み損を抱えるといった状況は、こういった相場の常識が変わったという認識が出来ないことが要因の一つとも言えます。

急落相場は安定相場とは買い時や売り時の判断が全く違う

自分で底を判断しない

急落相場が始まったという事は、先に述べた「相場の常識が変わった」ということです。であれば、特に短期的に見た場合、「下落の底がどこになるのか」というのは容易には判断できなくなったという事です。

様々なアナリストや経済評論家のような人が相場の先行きを予想しますが、実際の所、どういう動きになるのかは誰にもハッキリとわかるわけではありません。

そのような相場ですから、底がどこになるという判断するのは、急落時のリスクをさらに大きくしてしまいます。

どれだけ下落したとしても、ここが底だと決めつけずに、さらに下値があることを想定した売買をする必要があります。

具体的には、以下のようなリスク管理方法が求められます。

下落の底を判断しないポイント

  • 買い増しは小ロットで行う
  • 下落が想定を超えた時点で一部損切りする
  • 信用取引はしない

一時的に株価が戻っても第二波、第三波の急落を警戒する

急落時に一番怖いのは、「大きな下落が複数回起こる可能性がある」という事です。

最初の急落で、例えば日経平均株価が5%下落したとします。ここで100万円の保有株があるとすれば、銘柄にもよりますが5万円程度の損失は発生します。痛い損失ですが、この一回で急落が終わり再び元の相場に戻るのであれば、それほど怖いものではありません。

しかし、場合によってはその急落が引き金となって複数回の大きな下落、時には歴史的な下落相場へのスタートとなる可能性もあります。

相場の下落が複数回に分けて発生する理由

では、なぜ第二波、第三波が発生する可能性があるのかと言えば「株式の売買をしている投資家のほとんどは個人投資家でなく機関投資家である」という事が要因の一部だと私は考えています。

個人投資家の場合、基本的には資産運用の一部として株式投資をしている人が多いと思います。

そのような運用であれば保有する株の企業の業績が悪化していなければ「多少相場が悪くなって株価が下落したとしてもホールドしておけば良い」と考える人も多くいるはずです。

しかし、機関投資家では顧客から預かった資金を運用したり、会社の運営そのものが投資による利益で成り立っているため、のんびりホールドしようという投資は出来ません。

そのため、「投資におけるノルマや損失発生時のロスカットにおける厳しいルール」が用いられているでしょう。

機関投資家の特徴

  • 厳格な投資ルールがある
  • 個人投資家のように塩漬け出来ない
  • 資金の規模が圧倒的に大きい

機関投資家の投資資金は相当なものですから、彼らが厳格なルールに則って保有している株を損切り、もしくは利益確定として売却してきたらどうなるでしょう。

「自分の売りが売りを呼ぶ展開になって、損切りしたくれも出来ない、あるいは想定以上に損失が加速する可能性がある」ということです。

機関投資家はロスカットに関して個人投資家以上に敏感で早めの対応が求められますので、本来は行き過ぎた売りであっても躊躇なく実行してくることがあります。

そういったことから、一度は株価が戻り基調にあったとしても、また新たに売ってくる機関投資家がいれば、さらに大きな下落が繰り返し起こることになります。そういう動きが急落後の株価の反発に対しても異様に強い売り圧力の要因の一部になっているのです。

株は上昇時よりも下落時の方が動きは早い

これは単純ですが、株が上がる時にはみんなが利益を出している状態です。元々なかったものが上がり続けるのであれば、じっくり保有していれば良いし、どうしても資金が欲しいわけじゃなければ無理に買い上げる必要もありません。

しかし、下落していく過程では「自分の資産が無くなっていく状態」だということです。「元々無かったはずのものが増えていく時」よりも、「持っているものが失われていく時」の方が勢いがつきやすいのは人の心理として当然です。


以上、「急落相場での4つの心得」でした。私の自論も入っていますが、急落時に起こりやすい特徴を意識するという意味では大切なポイントだと思います。

続いて、投資資産をコントロールすることでリスクを抑える方法について解説します。

投資資産と現金比率の考え方

まずリスク管理の前提として自分の投資資産と投資配分への考え方が重要です。その中でも基本的なことは「投資資産」=「保有株」+「現金資産」を理解することです。そして投資資産のうち、現金の割合がどれくらいかを表す言葉として「現金比率」という用語があります。

投資資産の現金比率の求め方

例えば投資資金を500万円用意しました。これは所謂「投資資産」です。

その投資資産500万円の内、300万円を株式化した場合には、現金資金が200万円ですから現金比率は40%になります。

現金比率=現金資金÷投資資金×100(%)

投資資金の現金比率の目安

一般的には「投資における現金比率=年齢」と言われています。つまり、30代なら30%、50代なら50%ですね。

投資における現金比率
20代 20%(80%株式化)
30代 30%(70%株式化)
40代 40%(60%株式化)
50代 50%(50%株式化)
60代 60%(40%株式化)
70代 70%(30%株式化)

つまり、「年齢が上がるにつれて、株を保有する割合を少なくする」ということです。これには2つの理由が考えられます。

年齢に比例して現金比率が増える理由

  • 投資資金が年齢と比例して増加する
  • 投資以外の生涯見込み収入が年齢に反比例して減少する
投資資金が年齢と比例して増加する

労働等による年収や貯蓄は平均すると年齢に比例して高くなります。そのため、年齢が増加するにつれて投資に費やす資金も増えることから、現金比率に余裕が出てくるのも現金比率の目安が年齢に比例して増加する理由の一つです。

投資以外の生涯見込み収入が年齢に反比例して減少する

年齢が増加するにつれて、平均年収や貯蓄は増加しますが、残りの生涯見込み収入は減少します。

現金比率の低い投資は失敗した時に非常にリスクが高くなるために、年齢の増加に比例して現金資金に余裕を持たせる必要があるのも、現金比率の目安が年齢が上がるにつれて増える理由です。

投資資金の現金比率の目安と実際の投資

現金比率の目安は上記の通りですが、実際に投資をする場合の現金比率は年齢以外にも家族構成や収入、目的など様々な要因があります。目安はあくまで参考です。

中には「投資資産を全部株にしている」という人もいるでしょう。現金比率0%は超積極的な投資を好まれる人ですが、これを長期投資でする場合には効率が良いかどうかは疑問があります。

というのは、保有株の総額が増えるほど、上昇すれば得られる利益が多くりますが、下落時の損失も大きくなるため、投資資産を100%株式化するのは、相場状況によっては非効率になる場合もあるからです。特に細かくトレンドの変わる相場や下落相場では尚更です。

30代の私の場合は投資資産に対して、相場が安定している状態では50%~70%ほどを株式として保有(現金比率30~50%)していますが、これは目安を意識したわけではなく、投資を長年続けるうちに身につけた、自分にとって一番効率的だと思える現金比率だったからです。

投資資産を100%株式にしない理由

仮に投資資金500万円のうち、300万円の株式、200万円の現金資産(現金比率40%)として投資していたとします。ある短い期間で全体相場が20%下落した場合、保有株も全体と比例して下落したとすれば損失は60万円になります。

もし、投資資産を100%株式として保有していたら100万円の損失になります。これによって「300万円だけ投資していたら下落リスクが少なく済んで助かったでしょう」と言うわけではありません。上昇時には500万円の投資資産を全て株式にしていた方が当然利益も大きくなったわけですから。

100%株式化するのが非効率な理由は下落した時の損失が大きいからではない

投資資産を100%株式することで発生する機会損失とリスク

投資資産に現金余力を残しておくべき理由は、急落時に余裕資金がないと「チャンスを逃すか大きな損失リスクがある取引をしなければならなくなる」からです。

仮に、全体相場が20%下落しても現金資金に余裕があれば、短期のリバウンドを狙う投資や買い増しも出来ますし、値下がりした保有株以外の銘柄への投資チャンスもあります。投資資産の余力がなければ、そんな時も指をくわえて静観するしかありません。

もし、現金比率0%で追加投資や新しい株への投資をするには、自分の余力を越える投資を迫られることになります。(それには信用取引や投資資金を追加する必要があります)

結果的に上手くいけば良いですが、急落相場の底は予測できないため、信用取引などで無茶をして予想以上に大きい下落になれば追証を支払えず強制決済による損切りの可能性もあります。

2012年以降の相場から考えると、そんな急落相場が起こるなんて想像できないかもしれませんが、リーマンショックや東日本大震災による相場のパニックは2000年代に入ってから実際に起こった「普通ではありえない下落」です。

投資をする人は、銘柄は入れ替える事はあっても利益が出ている限り投資をやめることはないでしょう。そうであれば、リーマンショックとまでは言わなくても、自分の想像を超えるような下落を体験するのは必然であり、そうなった時にリスク管理を怠った投資を続けているとどうなるかはわかりますね。

現金比率に余裕を持たせるのは消極的な投資ではない

以上のことから現金比率に余裕を持たせる意味は決して消極的な投資を考えているというわけではないという事がわかります。

現金比率を高めることで、どんな状況でも次の一手が打てるようになり、リスク管理が出来るだけでなく多様な相場の変化に対応することが出来ます。

株を多く保有している方が儲かる時の利益も大きいですが、リスク管理が出来ていなければ、最終的には大きな損失を被ってしまう場合もあります。投資資金の現金比率をコントロールすることで、どんな相場にも対応できる投資家を目指しましょう。

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