保有株が下落し損失を抱えた時に、その株をどうするかは投資家にとっては常に付きまとう悩みの一つです。
その時の投資家の行動の一つが「塩漬け」です。塩漬けは投資初心者がやりがちな失敗の典型的な例です。
今回は、保有株が下落して含み損を抱えた時の方法の一つである「塩漬け」が「損切り」よりも非効率な理由を解説します。
保有株の塩漬けとは?
保有株が下落した場合の選択肢は主に3つしかありません。
損切りは、「損失の出ている株を売却し、損失を確定すること」で、買い増しは「損失が出ている株をさらに安く買い、買付単価を下げること」を言います。
塩漬けは、「含み損を抱えた株を売らずに保有していること」を指します。
例えば10万円で買った株が8万円になりました。しかし、売ったら損失を確定することになるので、投資戦略はないけど売らずに上がるのを待とうというのが塩漬けです。
この3つの選択肢の中で、塩漬けは最も非効率な投資手法として考えられていますが、なぜ塩漬けはダメなんでしょうか。
塩漬けが非効率な理由
塩漬けがダメな理由としては次の3つが挙げられます。
新たな投資機会を失う(機会損失)
塩漬けの最大のデメリットは、投資資金を拘束される事です。
投資資金を塩漬けしている銘柄に拘束されることで、新たな投資機会を逃してしまうことになります。
東証には数千社の企業が上場しています。その中のたった1社に資金を拘束されることで、日々生まれる新たな投資機会を損なうことが、どれだけ勿体ないことかを認識する必要があります。
もし1年塩漬けしているのであれば、その間に利益になる可能性のある売買をどれだけ逃すことになるでしょうか。
投資技術が向上しない(経験の損失)
投資技術の向上には、本を読むよりも自分で売買する経験の方が圧倒的に重要です。
塩漬けによって投資資金が拘束されると、投資技術の向上に必要な経験を身につける機会を失います。
株式投資をする上で投資技術の向上は必須ですから、特に投資を始めた初期の段階での塩漬けによって投資に取り組む時間を減らすのは良いことではありません。
しかし、投資経験の少ない初心者の方が、塩漬けしてしまいがちなのも事実です。
投資への興味を失う(関心の損失)
また、投資経験の減少は、投資への興味を失うことにもつながります。
ずっと損失を抱えた状態で、何も売買せず過ごしていたら必然的にそうなるのは当然のことです。
興味を失えば、投資を続けることはなく、適当な時期に塩漬けした株を決済して証券口座を閉じることになるかもしれません。
「興味=技術の向上」でもありますので、結果的に塩漬けすることで、失う金額以上に大きな損失をもたらすことになります。
株価が元に戻る保証はない
また、保有株が自分の投資判断に反して下落したからと言って、その株が必ず買値以上になるわけではありません。
数年、数十年かけて戻ってくる場合もありますが、その時間を無駄にするのは勿体ないと思います。
必ず上がるという保証はない以上、他に有望な銘柄を探して投資先を切り替える方が、効率的な投資と言えるでしょう。
塩漬けにならないためのポイント
では、塩漬けにならないためには、どういった事に注意すればいいのでしょうか。
株を買う前に損切りラインを決める
塩漬けしないためには、株を買う前に損切りするラインを決めておくことです。
株を買ったあとに株価が下落する時点で、自分の投資判断が違ったということですから、潔く失敗を認めるのも大切です。
株を買った後では、保有株に対して客観的な判断を下すのは難しいので、買う前に損切りする株価を決めておくのが良いと思います。
例えば、買値よりも10%下落したら損切りするというように、損切りラインを設定しておけば、その10%以上に損失を拡大させることは、ほぼありません。
投資期間を定める
投資をする際に、投資期間を定めずに売買するのも塩漬けになりやすい要素です。
例えば、デイトレードのつもりが予想よりも株価が下がったので、売却せずに持ち越しているうちに塩漬けになってしまうような売買です。
このように投資期間を曖昧にしていまうことで、保有株が下落しても売却せずに放置した経験は個人投資家の方の中にも多いと思います。
短期投資、中期投資、または長期投資のどの投資期間で株を買ったのかを明確にすることで、無駄な塩漬けをしないように心掛けることができます。
【まとめ】無駄に投資資金を拘束しないことが大切
株式投資をする上で、投資資金をいかに効率よく運用するかというのは機関投資家のみならず個人投資家にも重要なポイントです。
塩漬けすることで、投資機会、投資技術の向上、投資への関心、相場観の全てにおいてデメリットが多くなるという事は間違いありません。
無駄な塩漬けを回避するように心掛けることが、投資の成績の向上には大切だと思います。
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