損切りが苦手な投資家の「損切りをしない投資法」

損切りが苦手な投資家の「損切りをしない投資法」

このブログでは、株式投資のリスク管理で最も重要な技術の一つとして「損切り」を出し、その意味や必要性をいくつかの記事で解説しています。

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しかし、「損切り」をすること自体が、人間の本能に逆らう技術であるために、理屈ではわかっていても出来ない人や苦手な人も多いのではないでしょうか。

実は、私自身も損切りをすること自体が、かなり苦手な個人投資家です。

そこで、今回は損切りが苦手な私が身に着けた「損切りを使わない投資法」について解説します。

損切りとは

まず始めに損切りの意味や、損切りが大切である理由について簡単に解説します。

損切りとは、「自分の保有株を売却して損失を確定する行為」を言います。

例えば、100万円で買った株が80万円になったとすれば、20万円の損失を抱えた「含み損」になります。

損切りが大切な理由

損切りが重要である理由は、含み損を抱えたまま何もしないと以下の弊害が発生するからです。

  • 損失を確定しないと資産を拘束される
  • 含み損を抱えた株が戻る保証がない
  • 含み損を抱えた株がさらに下落する可能性もある
  • 他に上がりそうな株を買えないので投資機会を逃す
  • 含み損を抱えた時点で投資判断は失敗(予定期間を過ぎた場合)

損切りが出来ない投資は資金効率が悪いが・・

これらの事から言えるのは、損切りをしない投資は効率が悪いことはハッキリとわかります。

しかし、何でもかんでも損切りしてしまえば投資で勝てるかと言えば、そんな事もありません。損切りした株がその後、大きく上昇して失敗したという経験は個人投資家であれば誰にでもあるはずです。

その経験が増えるほど、損切りをすることに対して躊躇する気持ちが大きくなり、「適切な損切りをどういったルール設定で良いのかわからなくなる」というのが、個人投資家のあるあるではないでしょうか。

損切りしない投資に切り替える

損切りは大切なルールの一つですが、上で説明したように適切な損切を実行し続けるとういのは難しいことも事実です。

であれば、「損切りをしない投資法」で株式投資をすれば、損切りという難しい技術を完璧には身につけなくても良いということになります。

私自身も、損切りが苦手なことから売買の基本は損切りを必要としない投資をしています。

損切りしない投資のルール

では、損切りしない投資法とは具体的にどういう考え方でルールを設定すれば良いのでしょうか。

  • 長期投資覚悟で利益になるまで売らない
  • 1度の購入株数は最小限でナンピン買い前提
  • 低PER・PBRの株を投資対象にする
  • 株価が半分になった場合を想像する
  • 買い増し(ナンピン買い)分は利益が出たら決済
  • 注意:明らかな失敗では損切りは必要

長期投資覚悟で利益になるまで売らない

まず、最も優先する考え方は「利益になるまで売らない」ということです。

損切りをしないということは、絶対に元を取るまでは鬼ホールドを覚悟するということです。そのため、買った株で利益が出るまでは売らないというのが、この投資法の基本になります。

但し、勘違いしてはいけないのは、株価が買い値よりも高くなるまで売れないわけではありません。

もし、長期投資であれば、配当金や株主優待が貰えます。

例えば、配当性向3%の株に投資したとすれば、株価が年間に3%下落しても損益は0になるわけですから、5年間保有していれば15%の下落までなら許容範囲ということになります。

1度の購入株数は最小限でナンピン買い前提

また、損切りをしないということは、買った株が大きく下落しても致命的な損失にならないような資金管理が必要になります。

そのため、「1度の購入株数は最小限に抑える」必要があります。

私の場合には、1銘柄に100万円の投資資金を投入するつもりなら、1回の購入額が5万円程度になるように株数を調整しています。

そして、株価が5%下落するごとに5万円ずつ買い増しして平均買付単価を下げていきます。

業績が黒字であれば、会社の資産が減少することはないので、株価が下落したとしても、必ずどこかで下げ止まります。

低PER・PBRを投資対象にする

損切りをしない投資法は、株価が下落することを前提とした投資を行う必要があります。

そのため、株価の下落余地というのは重要なポイントになります。下落余地が大きいほど、失敗した時には買い増しする回数や金額が増加していくので、資金効率が悪くなります。

また、長期投資も視野にいれた投資であるために、配当利回りも重要な投資要素になるために、配当利回りが高い低PER・PBR銘柄を投資対象にする方が良いでしょう。

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株価が半分になった場合を想像する

また、株を買う前には株価が半分になった場合を想像するのが大切です。

優秀な投資家が手堅く投資したつもりでも、10回投資をしたら2回程度は失敗するのが投資です。つまり、失敗があって当たり前の投資ですから、損切りが大切な技術になるわけです。

それを行わないのであれば、株価が半分になることも十分に考えられるわけですから、その時に資産がどういう状態になって、自分の心理的な負担がどれくらいになるのかというを常に考えなければいけません。

買い増した株は利益が出たら決済

買い増した株は利益が出たら、早めに決済して利益確定するのも、この投資法の重要なポイントです。

株価が上がりきるまで保有していたい気持ちもわかりますが、細かく利益確定することで、損切りしなくても大きな含み損を抱えないように調整します。

投資格言に損失は小さく利益は大きく取ろうという「損小利大」がありますが、損切りで損失を最小限に抑えることが出来てこその格言です。

損切りをしないのであれば、買い増し分は小さい利益であっても利益確定していく方が効率的です。

もし、利益確定した後にまた株価が下落したとすれば、最初に買った株価以下で再び買い戻し平均買付単価を下げていくことが出来ます。

注意:明らかな失敗では損切りが必要

損切りをしない投資法とは言いましたが、明らかな失敗だった場合には損切りが必要です。

例えば、

  • 大幅な業績下方修正で今後も回復が見込めない
  • 業績予想が赤字で今後も回復が見込めない
  • 会社の不祥事で大きく経営方針が変わる
  • 配当が無配になるような酷い経営状況になる

など、だれが考えても明らかに将来性がない状態に陥るようなら、普通に損切りしましょう。このような状態でも損切りしないのであれば、それは投資法ではなく何も考えていないだけです。

損切りしない投資法のメリットとデメリット

私自身は、ここ10年ほどは損切りしない投資をベースに株式投資を行っています。損切りしない事で、損切りによるストレスはありませんが、デメリットもいくつかあります。

その中でも大きなデメリットは「資金効率が悪くなる」という点です。

私がこの投資法で株式投資をしている利回りは、年間で20~50%くらいです。つまり1000万円の投資資金に対して年間で200万円から600万円くらいの利益が目安になります。(日経平均株価が年間で変動しなかったと考えて)

損切りの技術がある投資家が、徹底した損切りを行い、積極的に変動の大きい銘柄に投資した場合には、年間の利回りは100%以上になることも珍しくありませんので、資金効率が良いとは言えません。

そのため、損切りの技術やルール設定に自信があり、資金効率を重視したい人には投資効率が悪いと言えます。

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損切りしない投資は安定志向の投資に適している

ただ、損切りの技術に自信がない個人投資家には、長期的に資産を運用し安定した投資基盤を作る「損切りしない投資法」の方が向いていると思います。

含み損を抱えても平均買付単価を下げつつ、高い配当利回りを受け取るという単調な売買ですが、その分、余計な投資判断が必要ないために、ある意味機械的な投資が可能とも言えます。

損切りしない投資法の私の運用例

私の投資の一例ですが、1400円くらいから買い始めた株が1000円程度になっていて普通なら大損ですが、細かい買い増しと利益確定、そして配当金を受け取ることで、トータルではその銘柄で利益を出している状態です。

期間的には現在で3年ほど保有しているので、決して効率が良いわけではありませんが、それでも長期的に時間をかける事で、普通なら損切りしたであろう株で利益を出しています。

大きな利益を期待すると挫折するので、投資を少しずつ利益に変えていくイメージが必要ですが、損切りが苦手ならこういう投資法もあるということを紹介しました。

※株式投資は元本を失う可能性のある資産運用です。当ブログを参考にされ損失を出したとしても、一切の責任は負いかねますのでご了承ください。

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