株式投資の失敗は急落相場で起こる

「株式投資の失敗は急落相場で起こる」というのは私の20年の投資経験に基づく教訓です。

今回は、急落相場における失敗と対処法について解説します。

急落時に投資家が取る選択肢

長期間には上昇相場を形成していても、相場が急落する場面は度々訪れます。その時の投資家の判断は、その後の資産運用に大きな影響を与えます。

迅速な損切り(ロスカット)

投資に関する本には必ずと言っていいほど、損切り(ロスカット)の重要性が解説されています。

私の長年における株式投資の経験を踏まえても、損切りは最も大切なリスク管理の1つであることは間違いありません。

業績の下方修正、チャートのデッドクロスなど株価下落のサインが出た時は、いち早く売却するに越したことはないでしょう。

相場の急落時の損切りは特に難しい

損切りは大切とわかっていても、市場の急落は保有している株の業績が悪化したわけではありません。

特に長期間の上昇相場の中にある急落相場では、急落後にも株価は必ず反発しています。

そんな状況が繰り返される中で「迅速な損切り(ロスカット)」は簡単に出来るものではありません。

損切りのタイミングにしても、結局は相場次第になってしまうので結果論でしかありません。

日経平均株価が1000円下げたら反発するかもしれないし、2000円下げてから反発するかもしれない。もしくは今度こそトレンド転換して長期的な下落相場に突入するかもしれません。

現状の相場からすると、急落相場後の相場は「どこかで反発する可能性の方が高い」という事は間違いありません。

損切り(ロスカット)をしないという選択

損切り後に株価が戻る可能性が高いと考えるなら、損切りをしないという判断も選択肢になります。この場合に個人投資家が取る選択肢は2つしかありません。

「放置」か「買い増し」です。

急落時に持ち株を放置するという選択

放置を選択すれば、上昇トレンドさえ崩れなければ、いずれは元の株価以上に反発するでしょう。

全体相場に連動すると条件をつけるならば、2013年以降の相場では保有株の放置は正しい選択の1つになります。

急落時に持ち株を「買い増し」という選択

もう1つの選択肢である「買い増し」はどうでしょうか。急落時の「買い増し」は諸刃の剣です。

買い増しは成功すれば、一気に資産を増やす可能性がある反面、失敗すれば損失が加速してしまいます。

急落時の「買い増し」の注意すべき事

急落時にする買い増しで、リスクを抑えるポイントは次の3つです。

  1. 株価高安を主観で判断しない
  2. 感覚的に買い増ししない
  3. 急落相場時には素直に含み損を抱える

株価が高安を主観で判断しない

買い増しをする際に、株価の高安を主観で判断するとリスクが高くなります。

例えば、一年で株価800円から1000円くらいに上昇した株があるとします。その株が急落時に850円まで株価が下がれば安いでしょうか?それとも高い高いでしょうか?私の感覚で言えば、安くなったと感じます。

しかし、それはあくまで主観です。急落相場で株価の基準が定まりにくい状況では、株価がより安くなる可能性も、再び高値付近まで戻す可能性もあります。

感覚的に買い増ししない

「思い切って」とか「チャンスを逃してはいけない」という考えは買い増し時には捨てた方が良いでしょう。買い増しする時に「思い切る」気持ちは必要なく「チャンス」は「リスク」でもあります。

買い増しで大切なことは、気持ちも資金も常に余裕のある状態でいることが大切です。

急落相場時には素直に含み損を抱える

急落相場で含み損を取り返そうという気持ちを強く持つのは危険です。相場の先行きは可能性でしかありません。決めつけた投資はいつか身を滅ぼします。

それでも、リスクが少なくなる方法を模索することは出来ます。

一発逆転を狙わずに、要所要所で小さな仕掛け(適切な買い増しや損切り)を行う事で長期的なリスクを減らす工夫をしていきましょう。

リーマンショック級の下落相場はいつか起こるかもしれない

歴史から学ぶなら、大きな下落相場は必ず起こります。

日経平均株価が15000円になるかもしれないし、10000円になるかもしれません。1%以下のごく低い確率かもしれませんが、可能性として0にはできません。

その時の損失が致命的なものにならなければ、投資の失敗が人生に大きな悪影響になることはないでしょう。

私自身も、もし日経平均株価が半分になれば1000万円程度の損失を抱える可能性があります。失う資産は少なくはありませんが許容できる範囲内です。

先行きが不透明な経済の中で、そういう状況が起こる可能性は常に頭の中に入れています。

結論:買い増しは臆病なほど慎重に

買い増しする時は、思い切ったり千載一遇のチャンスなどと考えず慎重に行いましょう。

「100回の成功も1回の致命的な失敗で台無し」にならないように、資産運用は臆病で悪いことはありません。

一部の凄腕トレーダーの派手な取引と比べると得られる利益は少なく、時間はかかります。それでも大怪我さえ避けられるなら、株式投資は資産運用の最適解の1つになるでしょう。