ほとんどの個人投資家は「兼業投資家」からスタートします。そして、投資で十分な利益を出せるようになれば「専業投資家」という道を考える人もいるでしょう。
私自身も、株式投資を兼業投資家として始めましたが、その後専業投資家として数年生活し、そして再び兼業投資家に戻った経験があります。
今回は私の経験を基に、株式投資における専業投資家と兼業投資家のメリットとデメリットについて解説します。
兼業投資家のメリットとデメリット
まずは兼業投資家のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
メリット1:運用利益を全て再投資できる
兼業投資家の最大の強みは、生活に必要なお金は仕事から得ることができる点です。
下落相場時に投資で安定して利益を出すのは至難の業です。そのような状況でも、安定した継続収入がある安心感は、投資判断にも好影響を与えます。
メリット2:失敗時の軌道修正が早い
投資は必ずしも思い描いたように成功するわけではありません。失敗した場合でも、仕事を続けているなら一旦仕事に専念する事も難しくありません。
再び投資を始めるために、知識を身につけたり資金を貯める時間が十分に確保できるのも兼業投資家の強みです。
メリット3:社会的な信用がある
仕事があるという事は社会的信用にも繋がります。社会的信用があることで、ローンを組むことや結婚に関して有利に働くことは言うまでもありません。
私は、運よく巡り合えた妻と専業投資家の時に結婚しましたが、基本的には専業投資家の状態での結婚はハードルが高いと感じています。
ただし、住宅ローンについては経験上、専業投資家では組めなくはないが、かなり難しいと断言できます。
デメリット1:株式投資に集中するのが難しい
日本株の場合、市場が開いているのは平日9時~15時です。夜間PTSもあるにはありますが、売買が活況に行われているわけではありません。
そのため、兼業投資家で日中に働いている人がリアルタイムに株取引するのは難しいでしょう。
日中に働きながら兼業投資家をするのであればデイトレードは現実的ではなくスイングトレード(数日程度で売買をする投資)から長期投資になります。
デメリット2:株の勉強やスクリーニングする時間が限られる
仕事をしながら投資の勉強やスクリーニングをする時間を確保するのが難しいでしょう。フルタイムで働きながら株式投資をするには、時間を作る工夫と体力が求められます。
専業投資家のメリットとデメリット
次に兼業投資家のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
メリット1:ザラ場中に取引が出来る
専業投資家の一番の強みは、株式市場が開いている日中に取引が可能であることです。
デイトレードや短期投資では株価変動をリアルタイムに確認することで取引機会が格段に多くなります。また、取引回数が増えれば増えるほど、経験に繋がり投資技術向上にもつながります。
メリット2:取引機会を逃さない
ザラ場に取引が出来る大きなメリットは、自分がチャンスだと思うタイミングを逃しません。
流動的な相場の中で迅速に対応できるため、リアルタイムでリスクオン、リスクオフの切り替えができます。
デメリット1:生活資金を稼がなければいけない
専業投資家は相場や自身の好不調に関わらず、生活費を株式投資の利益によって賄わなければいけません。具体的には少なくとも毎年300万円程度の利益を出し続ける必要があるでしょう。
デメリット2:社会的に信用が少ない
私の経験上、専業投資家で最も不便だったのが社会的信用が担保できないことです。ローン審査に通るのも困難なので、ローンを組まない前提の生活プランが必要になってきます。
また、賃貸住宅を借りるにもサラリーマンに比べると審査が厳しくなります。
デメリット3:失敗した時に潰しが効きにくい
専業投資家は失敗して資産が無くなった時に、潰しが効きにくいでしょう。仕事に活かせる経験や知識が無ければ、好条件での就職は難しくなります。
さらに高齢になればなるほど、再就職は厳しくなるし出世を望むのも難しくなるでしょう。
兼業投資家、専業投資家の両方を経験した私の感想
私は2004年から会社に勤めつつ兼業投資家をして、2010年代に入ってから断続的に専業投資家を経験して2023年現在は再び兼業投資家として生活しています。
専業投資家の時は、年間数百万~一千万円程度の投資利益を得る事が出来ましたが、専業投資家としては継続的に生活するには、やや心許ない収入でした。
また、兼業投資家として新たなライフスタイルを模索するのを楽しみたいと思い、今はセミリタイアという形で兼業投資家をしています。
確実に専業投資家になるなら1億円必要
そんな私個人の意見としては「どうしても仕事を辞めたい人でなければ、1億円程度のの資産ができるまで兼業投資家でいた方が良い」と思います。
フルタイムで働く必要はありません。自分の資産で得られるインカムゲイン(配当金や株主優待)を考慮して、段階的に専業投資家へシフトするのがオススメです。